
【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:なし、動物被害:なし
事実関係・疑問点の整理
人を見た目で判断してはいけません
ホラーx山小屋とくれば、自動的に殺人鬼に追われる若者、と勝手にイメージしてしまうのだが、本作はそのお約束を逆手に取っている。いかにもな見た目のオッサン二人組は休暇を楽しむ善良な市民であり、若者たちが偏見からくる恐怖で冷静さを失って、勝手に自滅していくのだ。結局、全ての死因は事故であり、オッサンたちは誰一人殺していないというオチである。
コント的流れで自滅していく大学生たち+α
大学生たちは、アリソンとチャドを除き、名前が出た頃には死んで行くタイプの半ばモブ的メンバーで構成されている。あまりにも可哀想なので、なんとか顔と名前と死亡シーンを一致させていきたい。
●ミッチ(ジャンケン敗北者)
蜂に襲われてパニックになったタッカーを見て、チェーンソーで殺される!と誤解して爆走、よそ見していたためそのまま枝に自ら突き刺さって死亡。グループの中で最も冷静で、(アリソンを)病院に連れて行ったのかも、普通の小屋で殺人鬼の家じゃない、などとコメントするなどしていた。
●トッド(帽子)
先端が尖った棒でデイルを襲おうとするも、躓いて棒も自分も穴に落下。先に落ちていた木の棒に刺さり死亡。話し合いなども大して参加せず、帽子以外の個性がほぼ見られないままの退場となった。
●マイク(金ネックレス)
ナイフを握りしめタッカーを襲おうとしたが、タッカーが屈んだため、自らウッドチッパーに突っ込む流れに。引き上げようと足を持って奮闘するタッカーが、大学生たちにはマイクを突っ込んだように見えて、殺人鬼の勘違いを決定的にする。そもそも湖に誘ったのもマイクで、割とキーパーソンと言える。
●ガー(警官)
ボロい柱に寄りかかり、柱が折れてぶつかり、屋外に放り出される。ぶつかった際に、補修した時のクソでかい釘がオデコに刺さっており、署に連絡することも出来ずに死亡。湖の別荘について、恐ろしい場所だぞと忠告するいわゆるハービンジャーの役割を担っていた。
●チャック(縞シャツ)
死亡した警官の銃を手にデイルたちに発砲しようとするも、安全装置がうまく外せず、カチャカチャやっている間に自分の頭をぶち抜く。割と序盤で一人逃亡したのか?と思われていたが、しっかり警官を連れて来た点は褒めてあげたい。結局なんの役にも立たなかったけど。
●ジェイソン(ロン毛)
電動のブラシカッターを持って小屋に突入、仲間の顔を削り、チャドの投げたランタンから引火して焼死。うるせぇ、クソッタレ、などいろいろ吐き捨てるものの、結局は終始チャドの言いなりの役立たずだった。
●ナオミ(黒髪)
ジェイソンのブラシカッターでガリガリされ、動けなくなる。その後チャドに見捨てられ、燃え盛る小屋に取り残され、爆死か焼死。警察に行こう、道に出て助けを求めよう、と常識人な提案をするが、すべてチャドに却下されていた。
●クロエ(サンダル)
小屋の火を消火しようとして液体をかけるも、かえって燃え盛って諦める。爆死か焼死。山小屋での休暇にサンダルを履いてくる準備の悪さから、ビンボトロープのポジションだったと思われる。
チャドの出自や、疑問点いろいろ
これはすれ違いコントを楽しむ作品なので、特に謎という謎もなく、頭を使わず楽しめるタイプである。そのため、いろいろとツッコミを入れるのはむしろ野暮ではあるが、あえて何点かピックアップしてまとめていきたい。
●なぜ大学生は誤解を続ける?
「湖から引き揚げて救助している」という目に見える事実よりも、デイルたちの見た目の印象を優先するような、偏見や先入観が発端と言える。その後、比較的冷静な言動を見せていたミッチが退場し、リーダー格のチャドが無駄に煽るため、集団心理で冷静さを失っていた。コミカルに誇張されてはいるが、状況的には現実でも起こり得そうだ。
●冒頭のシーンの意味は?
警察が立ち入り禁止にしていた犯行現場に、ニュース・クルーが突入。実は生きていたチャドが、彼らを襲う、という盛大なネタバレだった。山小屋系ホラーの不気味さを演出していた側面もある。
●アリソンの「心理学専攻」設定の意味は?
アリソンに心理学の知識があることで、偏見に流されない、対話を試みる、デイルの自己肯定感を高める、という役割に説得力があった。一方で、チャドがあれだけ異常な精神性を抱えていたことに気付いていなかったのか、という疑問は残る。
●チャドは本当に“殺人鬼の子”なのか?
作中「チャドの母が殺人鬼に襲われた」とあえて明言していることから、チャドはその時の殺人鬼の子ども、という解釈が最も自然だろう。作中で断定はしていないため、反証の余地は残されている。しかし、あそこまでソックリさんな父親の写真を見せ、チャドの明らかな異常性を演出しておいて、無関係です!という方が、無理がある。
感想
偏見の危険性を鋭く描き、視点の違いが人間像を変えるというのは現代の寓話的でもある。それが説教臭かったり、既視感があったりしないのは、やはりホラー映画のお約束を随所に散りばめつつもずっと『コント感』が前面に出ていて、且つどこを切り取っても面白いからだ。
タッカーもデイルも、不器用だが物凄く善良。なのに、登場シーンは大学生目線なので、確かに怪しく見える。映し方一つで、ただの田舎の売店すら不気味に思えてくる。2度目以降の視聴は、その演出がより一層効いてきて、序盤でもうずっと面白い、みたいな気持ちになる。大学生たちが山小屋に到着して以降は、声を出して笑ってしまう『事故』の連続で、その勢いはエンディングまで止まらない。特に好きなのは、枝に刺さりに行く直前スローになる部分も含めたミッチの死亡シーンと、やはり勢いよくウッドチッパーにダイブするマイクの死亡シーンである。
個人的に、作中でタッカーにもデイル並みの幸運が訪れて欲しかったが、普通にいい奴なのでこれからきっと報われるはず、未来に期待、ということにしておこう。
基本情報
【公開年】2012年
【監督】イーライ・クレイグ
【キャスト】タイラー・ラビン、アラン・テュディック、カトリーナ・ボウデン、ジェシー・モス、フィリップ・グレンジャー、ブランドン・マクラレン、クリスティ・レイン、シャーラン・シモンズ
【登場人物】デイル、タッカー(デイルの親友)、アリソン(大学生)、チャド(大学生)、保安官、ジェイソン、ナオミ、クロエ
【ポストクレジット】なし





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