
【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:あり、動物被害:なし
事実関係・疑問点の整理
特撮オマージュファンタジーギャグときどきスペースオペラ
本作は、特撮へのリスペクトがもりもりのファンタジーコメディーである。少女ミミは、ひょんなことから宇宙を破壊できるレベルの悪魔を呼び覚ます。無敵なはずのその悪魔はミミに弱点を握られているため言いなりになるしかなく……という設定。それに加え、何故かその悪魔の存在を受け入れていく家族、悪魔にクソデカ脳みそに変身させられても動じない隣人、「惑星同盟」とかいう立派な名前のザコ集団といったシュールさも、本作独特の面白さに繋がっているのだ。
主人公ミミの“強さ”
●反社会的トリックスター主人公
ミミを形容する言葉を探そうとすると、マイナスな言葉しか出て来ない。ソシオパス的で、かなり倫理観や道徳的な発達に問題がある自己愛系の女の子だ。しかし、本作は彼女なしには成り立たない。そもそもミミがいなければPGも解放されなかったが、「普通の」倫理観や恐怖心を持った「普通の」子どもが宝石を手にしたとて、PGを手懐けることは無理である。その後も要所要所の判断(“暗黒の勇士”への攻撃を許可する、最終的に宝石を渡す、など)で、結果としてミミはPGから家族を守ることに成功した。
●メタ的にミミを考える
ミミは「もし子どもがめっちゃ強い力を手に入れたらどうする」という本作の根本テーマを体現している。もともと家庭内で圧倒的暴君なだけだったミミが、PGという無敵の力を得たことで、宇宙規模の危険を招く存在にランクアップしたのだ。未熟者が絶大な力を手にして身を滅ぼす系の寓話はよくあるが、コメディでもある本作の結末は違う。ミミは身を滅ぼすことなく、PGと倫理観ぶっ壊れ同士の友情を築き、彼女的ハッピーエンドを迎えるのだ。それでもなんだか納得してしまうキャラクター自体が、彼女の持つ「強さ」と言えるのかも知れない。
クレイジーボールとは、など疑問点3つ
●クレイジーボールとはどんなスポーツ?
ミミ(とルーク)が作り出した独自のボール遊びだと思っていたが、実はカナダで14番目に人気のスポーツだとか、7年ごとにワールドカップが開催される(しかし参加国はカナダのみ)とかの設定があるらしい。この辺は本編では描かれていなかったが、別途公式が出した動画から拾える。しかし、そこは全く重要ではない。宇宙人たちが『スポーツは理解できない』と言っていることが、本質だ。要するに、分かるようで分からないヘンテコスポーツによって、なんだかんだでミミがルークを殴る、それによってPGチームが勝利となる、というトンチキ展開を楽しむための存在と言える。
●PGの能力とは?
電気系統の能力を持っているらしく、そのエネルギーで相手を拘束したり、テレビを介して仲間に呼びかけたり、グレッグに助けを求めたりしていた。また、アラスターを巨大脳みそにしたり、警官をモンスターにしたり(バイオコップ)、他者の肉体を変形する能力もあるようだ。また、名誉ある死を与えるために敵を食べると言って、めちゃくちゃデカい口が開き、成体の宇宙人をモッシャモッシャ食べていた。軽いハイタッチでグレッグの腕をへし折るなど、フィジカルも強そうだ。つまり【一つの抜きんでた能力で無敵になったチート系】ではなく、【全パラメーターの値が高い一方で強烈な弱点がないため総合的に無敵に近い存在】と言えそうだ。
●宝石、普通にミミから奪えたのでは?
PGが宝石を奪えないのは、宝石の持つ魔法的力によるものと考えるしかない。つまり、最初の時点でミミが「宝石を奪うな」と命令していなくとも、宝石所持者であるミミに不利になる行動(ミミを殺して宝石を奪う、など)は、自動的に制御されてしまう仕組みなのではないだろうか。でなければ「宝石を手にしたものが命令できる」という前提が、腕力で簡単にひっくり返ってしまうからだ。
感想
勝気でワガママな女の子、みたいなキャラは苦手なのだが、ミミに関しては違う。もはや『勝気でワガママ』レベルではなく、非力なのに宇宙を支配出来そうなオーラを持った破壊神、くらいの風格があるからだ。あそこまで突き抜けてしまうと、ぶっ飛んだキャラも一周回ってとても愛おしい。
サイコ・ゴアマンという名に恥じないゴア表現が各所に散らばっているのもよかった。とはいえ、80年代の特撮感というか、ほどよいチープさがゴアすらもコミカルに仕上げている。アラスターは結局ずっと特大脳ミソのままなのだが、造形がちょっとキモくてちょっと可愛いという絶妙な塩梅なため、悲壮感がない。
ガイガックス星、テンプル騎士団、プラクシディケの宝石、そして暗黒の勇士に惑星同盟……そんな特撮モノに出てきそうな雰囲気の言葉が羅列されているだけで、設定や物語の深さはほぼない。しかし、PGが愛(友情?)を知り、ミミはルークと和解し、夫婦間も雪解けを迎えて、謎に「いい話だったな」という気持ちを持ってエンディングを迎えることが出来る。ゴアグロが苦手、トンチキ過ぎるのが苦手、という層には刺さらないと思うが、気軽に楽しめる特撮系ゴアムービーとして定期的に見たい作品である。
基本情報
【公開年】2021年
【監督】スティーヴン・コスタンスキ
【キャスト】ニタ・ジョゼ・ハンナ、オーウェン・マイヤー、マシュー・ニネーバー、アダム・ブルックス、アレクシス・ハンシー、クリステン・マックロック
【登場人物】ミミ、ルーク(ミミの兄)、サイコ・ゴアマン、グレッグ(ミミの父)、スーザン(ミミの母)、パンドラ
【ポストクレジット】なし(ミッドクレジットあり)





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