【考察】映画『インシディアス 第2章』|終わらない悪夢と、明かされる“老婆”の正体

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:なし、子ども被害:あり、動物被害:なし

●肉体を奪われたジョシュ
前作で、“彼方”までダルトンの魂を迎えに行き、無事救出することが出来たジョシュ。しかし、ジョシュの魂が戻る前に、謎の老婆=“黒衣の花嫁”の魂に肉体を奪われてしまった。本作は端的に言うと、“黒衣の花嫁”を消滅させてジョシュが自身の肉体を取り戻すまでのストーリーである。

●ジョシュの戦い
あの世でカール&エリーズと合流したジョシュは【“黒衣の花嫁”の記憶を滅したら肉体を取り戻せる】と知る。そして向かった記憶の在り処、赤い扉の先には、のちに“黒衣の花嫁“となるパーカー・クレイン少年の部屋があった。そしてパーカー少年のサポートも受けながら、エリーズはラスボスであるパーカーの母親を撃退することに成功した。

●ジョシュ、帰還
ラスボスを撃退したジョシュは、カールと共に肉体を目指して帰路につく。二人は駆け出すも、たくさんの霊に囲まれて混乱状態となる。それを救ったのは、幽体離脱をして迎えに来たダルトンの魂だった。そしてようやく、二人の魂は無事に肉体へと戻ったのである。前作と迎えに行く側・助けられる側が逆転した形だが、互いを思いやる親子愛が強調される結末となった。

●この世メンバーの戦い
ジョシュがあの世で孤軍奮闘している頃、この世でルネたちも戦っていた。

◆霊障
前作騒動後、ルネたちはロレインの家に一時避難するが、そこでも霊障が続いていた。女の姿が見える、謎の声が聞こえる、ルネが平手打ちされるなど。さらに幽体離脱体質のダルトンは、パーカーに殺された女性たちの霊からも接触されるなど、人一倍怖い思いをしていた。

◆偽のエリーズ
霊能力者カールを介して、エリーズの霊へのコンタクトを試みたスペックス、タッカーそしてロレイン。そこで得たヒントを元に、パーカー・クレインの自宅までたどり着く。しかし、そこに導いていたのはエリーズの霊ではなく、パーカー母の霊だったことがのちに判明する。

◆様子のおかしいジョシュ
冒頭からずっとパーカーの霊に憑依されていたジョシュは、高圧的な物言いなど普段と違う様子を見せる。やがて、カールたちに手を上げ、ロレインやルネも襲おうとする。地下室に逃げ込んだルネたちをハンマー片手に追いかけ回す姿は、どこぞのジャックさんを彷彿とさせた。最終的にはあの世チームがパーカー&パーカー母に打ち勝ったことで、パーカーの魂は消滅、肉体にジョシュの魂が戻ってきた。

●パーカー・クレイン
本作において、”黒衣の花嫁“が連続殺人犯だったこと、正体がパーカー・クレインだったことが明かされる。パーカーは、ジョシュが子どもの頃ロレインが働いている病院に入院、その後死亡しているが、彼に殺害された女性たちの遺体が今もパーカーの自宅に残されていた。

●パーカー少年
パーカーの幼少期は悲惨なものだった。女性として生きるよう母親に強制され、『マリリン』と名乗らないと叱責される状況だった。彼もある意味『被害者』だったのである。死後霊体となったパーカーは、そんな『失われた少年時代』を取り戻したいという願望から、ジョシュの肉体を長らく狙っていたようだ。

●乗っ取ったはいいけれど
パーカーがいざジョシュに憑依すると、徐々にジョシュの体は崩壊していく。奥歯が抜け、明らかに見た目も病的になっていった。パーカー母が『死んだ魂が命ある肉体を滅ぼしていく』と言っていたが、肉体を得ただけでは、生き直すことは出来ないということだろうか。不安を覚えるパーカーを煽るようにして、パーカー母は『みんなを殺せば生きられる』と語る。おそらく生前も、そうして殺人を促し、彼を孤立させ、人生をコントロールしてきたのだろう。今回、エリーズがパーカー母の霊を消滅させたことで、ようやくパーカーは真に解放されたのである。

◆冒頭のビデオで『案内するよ』と幽体離脱しながら玄関へ行く少年ジョシュ➡大人ジョシュの霊に、パーカーの記憶の場所を案内してくれていたことが判明
◆違和感いっぱいのジョシュ➡前作ラスト時点だけではなく、そこからずっとパーカーに肉体を奪われていたため、様子がおかしかったことが判明
◆ロレインの家で鳴るピアノ➡ジョシュが、肉体を奪われていることを知らせるために、ルネが作った曲を弾いていたことが判明
◆前作、旧家でのベビーモニターの異変、玄関を叩かれる、ドアをぶち破られ警報機が鳴る、といった一連の霊障➡悪霊からカリを守るためにジョシュの霊が奮闘していたことが判明

前作の霊障が、ジョシュ霊の行動と見事に合致していく様子は巧妙で爽快感さえあった。しかし、回収されない伏線というか、謎のまま残っている部分もある。

たとえば、パーカー母がエリーズのフリをしてカールたちを病院に誘導した理由や、エリーズの首を絞めた手の跡がジョシュと一致しなかった理由などだ。前者については、パーカー母になにか策略があったとも思えないので、自己顕示欲的なものとか、自分のテリトリーに誘って怖がらせたいとか、わりと短絡的な動機かと予想する。後者は肉体の崩壊に起因するのかも知れないが、作中の描写からは断定できない。

前作ラストの衝撃がストーリーとして繋がっていただけでなく、霊障シーンがしっかり意味ある場面に昇華されていたのは感心した。一方前作同様、『彼方』、『魂』、『憑依』などに厳密なルールや設定などはなさそうで、全体的に雰囲気重視である点は同じだ。怖さもジャンプスケアに頼った物だったので、その辺も合わない層には合わないだろう。個人的には、『インシディアス』はそもそも怖くない部類のホラーである。というか、試練に直面した家族がどう乗り越えていくのかを描いた、ヒューマンドラマだと思っている。一応世の中的にはホラー映画なのでタグはホラーにしているけども。

ところで、カール登場時はなんか胡散臭いオッサンやなと思ったが、彼も実際に“見える”側の人物な上に普通にいい人だった。疑ってごめん。お詫びに、『ケサディーヤ』でねじ込まれたスベり気味のコメディパートを温かく受け止めたいと思う。

基本情報

【公開年】2013年
【監督】ジェームズ・ワン
【キャスト】パトリック・ウィルソン、ローズ・バーン、タイ・シンプキンス、アンドリュー・アスター、バーバラ・ハーシー、リン・シェイ、リー・ワネル、アンガス・サンプソン、スティーヴ・コールター
【登場人物】ジョシュ・ランバート、ルネ(ジョシュの妻)、ダルトン(ジョシュの長男)、フォスター(ジョシュの次男)、ロレイン(ジョシュの母)、エリーズ(霊能力者)、スペックス(心霊調査チーム)、タッカー(心霊調査チーム)、カール(霊能力者)
ポストクレジットなし

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