「プレデター:バッドランド」(2025年)

ジャンル:アクション、SF
監督:ダン・トラクテンバーグ
キャスト:エル・ファニング、ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ
登場人物:ティア/テッサ(ウェイランド・ユタニ社製アンドロイド)、デク(ヤウージャ族)
ポストクレジット:なし
ポテッチの好き度:93/100(大大大好き)

超ざっくりあらすじ

ヤウージャ族のニョールは、長男クウェイに対し、一族最弱である弟デクを始末するよう指示した。しかしクウェイがその命に背いたことで兄弟の運命は急展開する。その後訪れたゲンナ星で最強生物“カリスク”を狩る決意をしたデクは、上半身だけになったアンドロイドのティアとともにカリスクの巣を目指す。

ここからネタバレ注意

事実関係・疑問・つっこみ など

●主役がプレデター
シリーズ初となるプレデターが主役の作品で、人間は一切登場しない。舞台は死の惑星ゲンナ、ゲンナにいるのは固有種とウェイランド・ユタニ(以下WY)のアンドロイドだけ、地球の様子も描かれず、人間の存在は微塵もない。

●敵はアンドロイド
出発時点の“獲物”こそ最強生物カリスクだったが、最終的に戦うようになる相手はアンドロイドだった。敵が人間でないことは、デクを“ヴィランとしてのプレデター”にさせない意味で有効だった。首をもぎ取ろうが、頭を踏みつぶそうが、得体の知れない白い液体を撒き散らすだけの無感情アンドロイドだったので、純粋にヒーローサイドとして応援し切れた。

●シンプルな物語
ストーリーは至ってシンプルで、ヤウージャ族の若者が「死の惑星」に赴き、戦いの中で成長し、父を倒して一人前になる物語。解くべき謎などもなく、正直最初のシークエンスが終了した時点で、この映画がどう決着するのか予想がつく。王道と言えば王道。

パンフレットに全く紹介がなかったので(なぜ!!)、記憶している範囲で作中に登場したものを列挙していく。

①枝のような生き物:絡み合う蔓状の枝(?)で構成された生き物。先端が口になっている。各個体の強度は低めだが複数に囲まれると厄介。

②爆弾芋虫:見た目はただの芋虫。危険を察知するとムクムク膨れ上がって爆発する。

③ヴァルチャー:鳥と恐竜を混ぜたような生き物。近くに生息する毒針植物を利用して獲物を麻痺させ、捕獲する。

④インブレ・アングィス:うなぎ+爬虫類みたいなニョロニョロ。口から物凄い勢いで酸性の液体を吐く。液体の強さはアンドロイドも溶かすレベル。豆みたいな好物で餌付けが可能。忠誠心がとても強く命懸けで主人を守る。

⑤ボーン・バイソン:カリスクの獲物で、象が耳を前向きに閉じているような見た目。皮膚はかなり硬そう。肉もまずそう。

⑥ルーナ・バグ:3本足のクソデカヒトデのような姿。木の上に生息しており、下にきた獲物を触手のような舌で巻き上げる。

⑦カリスク:ゲンナ星最強生物。子どもは体を丸め転がって移動も可能。表皮を硬化し、カミソリ草のみならず敵の牙もガード可能。驚異の再生能力を持ち、頭を切り落とされても切断面の組織が伸びて結合し復活。成体は四足歩行が基本。これまで誰もカリスクを倒せなかった設定だが、作中ではテッサが使ったヤウージャ族の手りゅう弾であっさり凍ったり、あっさり爆散したりしていた。そこは少々ツッコミどころ。

●デク
半人前の若者という設定で小柄。ドレッドヘアーをポニーテール状にまとめている。左下の牙は、かつて何かから兄を守って欠けたらしいが詳細は不明。ゲンナ星到着時はプラズマソード、弓、手裏剣、スピア、ガントレット、そして手りゅう弾を所持していたが早々にそのほとんどを失った。プラズマソードは本作が初出、折り畳み式で刀身が少々個性的な形をしている。

●クウェイ
デクの兄。デクよりも大きな体格、立派なドレッドヘアーはまんべんなく生えていて、恐らく成人。クウェイの存在と行動で、ヤウージャにも“兄弟の絆”があることが判明した。

●ニョール(本編中では名前が明かされず、エンドクレジットもFather)
白いドレッドヘアーに白いヒゲと、角があるようないかついマスクが特徴。クランの長。「弱き者を許すは弱さの表れ」とか言ってヤウージャの思想にどっぷり、わが子であっても容赦なく首を切るレベル。引用したヤウージャの書を体現しているような、所謂プレデター像に合致するキャラクター。放り投げて使うレーザーの鎖を携帯している。強くなったデクに対し何故か上から目線の命乞いをしていたのが印象的。

Yautja are prey to none. ヤウージャは誰にも狩られない
Friend to none. 群れることはない
Predator to all. すべてを 狩る
Yautja Codex 0422/25 ヤウージャの書0422/25

映画「プレデター:バッドランド」本編より

感想

主役のデクが一族最弱設定、プレデターの怖さがない、サーマルヴィジョンがない(デク視点が序盤に数秒あるだけ)、基本マスクしてない、光学迷彩使用もほんのちょっと、プレデターはめっちゃ喋るし、兄弟愛も垣間見えるし、グロテスクな殺戮シーン皆無で、やたらデ〇ズニー色が強い。それだけでも、本作に賛否両論あるのは理解できる。

それでも私はプレデター映画としてとても楽しめた。兄クウェイの言動や振る舞いに惚れ惚れしたし、たっぷり描かれた多くのバトルシーンは総じて面白く、ツッコミどころでマイナスに感じた部分を補って余りある良さが詰まっていた。特に、兄弟の描き方はとても好きだった。デクにとっては目指すべき憧れの相手である兄クウェイ、クウェイにとっては命を賭してでも成長の機会をあげたい弟デク。そこにはかつてデクがクウェイを守った恩返しの意味もあったかも知れない。デクが父とのバトルで、兄がされたのと同じようにまず右腕を切り落としたのも熱かった。

デクはティアとバドを指して本物のクランと言ったが、「絆が芽生えて、愛情を持って家族になった」というより、デク流のアルファ像「一番守って一番狩る」を実現するためのクラン、という気がする。デクは本物の“ファミリー”は兄だけと思っている、と勝手に考えている。強く賢く弟思いのクウェイが本当に刺さったので、兄貴主役の前日譚なんてのも見てみたい。

とはいえ、姿を消したプレデターがじっとりねっとりコチラを狙って、どこからともなく襲ってきては背骨をぶっこ抜いて生皮を剥ぐ、みたいな新作が観たい気持ちもある。次回作は「ベテラン狩人プレデターがばったばったハントしまくる血みどろ作品」あたりを期待したい。

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