【考察】映画『エイリアン2』|新たなエイリアンがリプリーと熟練の兵士たちを襲う第二の悲劇

ホラー要素がアクションに置き換わった感のある本作では、魅力的な新キャラたちや前作との繋がりなど気になる点も多く存在する。それらを考察しながら、異種間母バトルを振り返っていく。

●リプリー、奇跡の回収
物語は前作のノストロモ号事件から57年後、広大な宇宙空間を漂っていたシャトルが奇跡的に回収され、リプリーが目覚めるところからスタートする。航海士資格をはく奪されるも、彼女はすぐ適応して、倉庫の貨物係として働き始めた。資格はく奪は、ノストロモ号破壊の責任を取らされた形である。査問会で語られていたように、ノストロモ号の記録は消滅しており、そもそも事件から60年近く経っていることから、この時点で会社側がノストロモ号事件の真実やエイリアンの存在を把握する術はなかったのだろう。

●再びLV426へと降り立つ
LV426に作られたコロニーとの通信が途絶えたため、海兵隊と共にリプリーも調査に向かうこととなった。しかし、そこは既にエイリアンによって壊滅状態となっており、発見出来た住民は少女ただ一人という展開。この後の動体探知機を用いた捜索で、繭の中から『殺して』→チェストバスター登場→不穏な音→じわじわ動くゼノモーフの群れ→『動体反応!』『接近中!』『何も見えない!』といったシーンは、アクションに振り切った本作の中でもホラーらしい展開だった。

●決戦!母VS母
大気製造装置の爆発まであと4時間というタイムリミットの中で、建物内に侵入したエイリアンにより隊員たちは次々殺されていく。そしてなんとかビショップが救命艇を用意したが、ヒックスだけを託し、リプリーはニュートを助けに戻る。繭化途中だったニュートを救出したのち、ついにエイリアンの母親=エイリアンクイーンとの対決。戦いはスラコ号まで続いたが、最後はエイリアンを宇宙空間に放り出してリプリーが勝利した。リプリーがエアロックでエイリアンクイーンをぶら下げたまま耐えるシーンは少しツッコミたい気持ちになったが、そこは許容範囲である。

●コロニー:ハドリーズ・ホープ
LV426は、大気を呼吸可能にする装置が設置され、既に60世帯以上が暮らす「ハドリーズ・ホープ」という名のコロニーとなっていた。入植者たちの【20年以上の居住実績】があることは、リプリーの『怪物がいた』発言の信ぴょう性をさらに低くしていた。なお、中盤でヒックスが『救援が来るまで17日』と話していたことから、通信が途絶えてからスラコ号が到着するまで、最低でもその程度の日数が経過していたと推測される。

●海兵隊
序盤は軽口を叩き、全体的に舐めたムードが漂っていた。だが、装備も技術も確かであり、後半ヒックスとリプリーが指揮を執るようになってからは合理的に動いていた。隊員たちも、そして彼ら(特に経験不足のゴーマン)を配置した上層としても、LV426で起きていることをかなり過小評価していたのだろう。結局優秀な面々を次々と失いヒックス以外が全滅してしまった。以下、数名ピックアップしてまとめる。

◆ドレイク:バスクェスと仲良し。装甲車へ乗り込む直前、ゼノモーフの酸性血液シャワーを食らい死亡。倒れる時に手にしていた火炎放射器をぶっ放し、装甲車内にちょっとした火事を引き起こした。

◆ハドソン:調子乗りマンだったが、装甲車に乗る際に酸性血液で負傷すると、信じられないほど弱気になっていく。最後は制御室でハイテンション乱射モードに突入したところで、床下から現れたエイリアンによって連れ去られた。

◆ゴーマン:新人中尉。実戦経験がほぼなく、見下されていた。装甲車内で降ってきた荷物にぶつかり脳震盪のうしんとうを起こして以降、指揮も執れなくなる。それでも、終盤で足を負傷したバスクェスのもとに自ら戻り、弾切れになると潔く自爆して、印象に残る最期を迎えた。

◆バスクェス:常に先陣を切って突っ込んでいく頼れるマッチョ狙撃手。ゴーマンの『弾倉全回収』という無謀な命令を無視し、冷却装置が爆発しないギリギリの範囲で銃を乱射し、結果として味方を救うというミラクルを起こした。ゴーマンに対する『あんたはいつもダメな男』という最期の言葉も彼女のキャラクター性を大いに表すものだった。

◆ヒックス:伍長。スラコ号からの降下時にグースカ寝るくらいには熟練の兵士。ゴーマンが負傷後は、リプリーと協力しながら指揮を執る。その後も臨機応変な対応と、確かな戦闘力で最後まで生き残った。終盤で負傷し、リプリーとクイーンの戦闘時は離脱状態となり、ラストは痛々しい姿で冷凍睡眠ポッドに入れられていた。

●バーク
本作における“悪役”。リプリー回収後(おそらく)ナルキッソスの記録にアクセスし、LV426にある遺棄船の座標を手に入れ、入植者を探索に向かわせた(完全版でニュートの家族だったと判明)。それが会社の指示・意図ではなく、バーク個人の暴走であることはセリフからも明らかであり、探索がきっかけでコロニーは壊滅したのだから事実上の犯人である。さらに、リプリーとニュートを利用してエイリアンを密輸しようとも企むなど悪知恵しか働かない男である。ラストは無事エイリアンに捕獲されて、皆の溜飲を下げた。

●ニュート
コロニー唯一の生存者。小柄な体を生かし、エイリアンに襲われない空間を見つけて立てこもり生き延びていた。リプリーには信頼を寄せて、最後はママと呼ぶなど疑似母娘となる。本作を母VS母として描くにあたり重要なキャラクターだった。

●ビショップ
WY社製アンドロイド(人工人間)。リプリーに初対面から嫌われていたが、最終的には作戦の要となり、文字通りニュートの命綱ともなった。エイリアンクイーンの尾で刺された上に体を真っ二つにされるというグロ展開を迎えるが、飛び散るのが牛乳なので緩和されていた。

●全体的な設定変更
前作と異なり【デカい女王が卵を産む】という蟻に近い設定に大幅変更された。それ以外にも、血液の酸度が弱まっているようで、その影響もあってか近接戦闘/発砲がバンバン行われていた。

●エイリアンウォーリアー
成体ゼノモーフの一種。働きアリ的役割で複数存在し、人間を殺したり、連れ去って繭にしたり、エイリアンクイーンを守ったりする。ビックチャップと異なり頭部には半透明フードがなく中身が露出している感がある。言葉を交わしている様子はないが、クイーンの指示を理解し従う場面があった。

●エイリアンクイーン
周飾頭類恐竜のような特徴的な頭部。サイズも大きく(ビックチャップの2倍程度)、腹部に卵管がありそこから大量の卵をねちょねちょ産み出す。高い知性と母性があるらしく、作中リプリーと『交渉』しているような描写があった。

●エイリアンの最期
クイーンが【卵に手を出さないならお前のことも見逃すよ】という具合でリプリーを一度は見送る。しかし、リプリーは卵の群れを抜けると振り返って火炎放射器をぶっ放す。エイリアンを手放しで信用できない部分や、復讐の気持ちも当然あったと思うが、フェイスハガーがいつ生まれるかも分からない状況でリスクを取らない堅実な行動でもあった。そして一帯を爆破しまくって、ウォーリアーたち諸共火の海にした。その後、ドロップシップの隙間に潜んで追いかけてきたクイーンだったが、リプリーにパワーローダーでボコされ、エアロックに落とされ、宇宙空間に放り出された。パワーローダー、強すぎる。

すでに敵の正体を知っているので、前作と同じ系統でのホラーではマンネリ化する、だからアクションに振る、というのは分かる。実際、派手な銃撃戦は見ていて面白かった。しかし、エイリアンの生態が改変され弱体化した感があるのは残念だった。

一方で、リプリーの魅力的な部分は引き継がれており、そこに“母”という新たな側面も加わって一層応援したくなった。また、ビショップの存在が光っていた。前作を見ている層なら、リプリー同様アンドロイドに警戒したくなるところだろう。だが、彼は最後までリプリーたちを裏切らなかった。それは単純に【会社からの特別指令がなかった】だけかも知れないが、それでも彼が人命優先の”プロトコル”に従いニュートを守り切ったことは、見ている側にも感動を与えた。またその後の彼の振る舞いを見ていると誰よりも“人間らしさ”を感じさせたし、本作において断トツで深みのあるキャラクターだろう。体が真っ二つなのにかっこいいと思ったキャラは、ビショップが初めてである。

基本情報

【公開年】1986年
【監督】ジェームズ・キャメロン
【キャスト】シガニー・ウィーバー、キャリー・ヘン、ランス・ヘンリクセン、マイケル・ビーン、ビル・パクストン、ジェニット・ゴールドスタイン、ウィリアム・ホープ、マーク・ドレイク、マーク・ロルストン、アル・マシューズ、ポール・ライザー
【登場人物】エレン・リプリー(ノストロモ号生存者)、ニュート(コロニーの少女)、ビショップ(アンドロイド)、ドウェイン・ヒックス(海兵隊伍長)、ウィリアム・ハドソン(海兵隊特技兵)、ジェニット・バスクェス(海兵隊狙撃手)、スコット・ゴーマン(海兵隊中尉)、マーク・ドレイク(海兵隊機関銃手)、アル・エイポーン(海兵隊軍曹)、カーター・J・バーク(ウェイランド・ユタニ社員)
ポストクレジットなし

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