【考察】映画『エイリアン:ロムルス』|衝突の危機と謎の生物から逃げ切れるのか

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:あり、身体損壊:あり、子ども被害:なし、動物被害:なし

ここからネタバレがあります!未視聴の方はご注意ください!

20年前にノストロモ号の船員をほぼ全滅させ、その後宇宙空間へと放り出されたエイリアン=ビッグチャップは、ウェイランド・ユタニ社(以下、WY社)により回収され、宇宙研究施設ロムルスにてDNA解析等の研究に利用されていた。残念ながらというか大方の予想通りというか、ビッグチャップは突如目覚めて研究員たちを襲い、最終的に施設は全滅となった。本作は、その後にロムルスに到着したレインたちがクローン・エイリアンたちに遭遇するのがメインストーリーとなる。なお、会社が残骸を発見するに至った経緯だが、マザーのセンサー機能が生きており繭に反応して信号発信→WY社側でキャッチしたものと思われる。

●ロムルス内での研究内容
ルーク曰く、彼らは“完璧な人間を作る研究”をしていたという。ジャクソン星のような過酷な場所でも使い倒せる駒を生み出し利用するつもりだったのだろう。なんやかんやでロムルスでは、エイリアンのDNAから“代謝を制御”し“宿主をアップデート”できる「Z0-1合成物」の生成に成功した。しかし、ラボにはかつてマウスだった“残骸”が残されており、ケイの最期を見ても、未完成品のようである。

●ウェイランド・ユタニ研究施設としてのロムルス
シリーズを通して見ても、会社がエイリアンについてどこまで把握していたのかが不明瞭である。会社としてかなりの縦割り構造で、部門によっては社内でも極秘扱いになっていると考えるのが妥当だ。ロムルスほどの規模の施設を会社上層の決裁なく運用するのは無理だろうし、かと言って、エイリアンの存在をわずか30年で全員が忘れてしまうというのも無理があるからだ(エイリアン2)。つまり、ビッグチャップ研究にあたった部門(ロムルス乗員等)とそこに予算をあてがえるような層だけがエイリアンに関する情報を持っており、ロムルス消滅とともにデータも消え、余計なトラブルを避けたい上層はそのまま全てをなかったことにした……と推測するのが現実的だろう。

●アンドロイドは必須
本作では2体のアンドロイド、アンディとルークが登場する。ルークは見た目を裏切らず、アッシュの再来のような立ち位置で会社の利益を最優先する。過去作でも描かれた『会社に従順すぎる機械人間が敵に回る』という構造なのだが、途中、モジュールの交換によってアンディがコロッとクソアンドロイド化する展開は、生成AIが普及してきた現在では以前よりもリアルな脅威に感じられた。それでも、レインを最優先し、寒いギャグを言い続けながら寄り添う姿には、アンドロイドと平和に共存する明るい未来も示している。

●人工エイリアン
作中で大暴れしたのはビッグチャップを元に人工的に作られたエイリアンである。フェイスハガーが、エッグチェンバーではなく人工的なシュリンクをぶち破って出てくるのは、卵がペニョンと割れて飛び出るのとは別の不気味さがあった。

●人型エイリアン
本作で初出となる新種エイリアンは、人型エイリアン『オフスプリング』である。ケイが合成物を注射したことで胎児のDNAが変異したものと思われるが、シリーズで初めて”妊婦”から”生まれた”存在でもあり、象徴的な誕生だった。酸まみれの卵から生まれると急速に成長して、あっという間にレインの倍ほどの大きさになる。しかし下手に人間らしい顔をしているので、「どう見ても勝てない」という、絶対王者感が消え去っていた上、背中の穴は急所丸出し感がすごかった(急所かは不明)。オフスプリングは母であるケイを吸い尽くして殺したり、追い詰めたレインを見下ろしてニヤリとしたり、とにかく嫌悪感を抱かせる存在だった。

●人工重力
作中の世界では重力が人工的に完全にコントロールされている。爆発を防ぐため(?)に、宇宙ステーション内は定期的に人口重力が発生していたし、後半は手動で重力をかけたり消したりすることで、うまくエイリアンとのバトルに生かしていた。これまでにないアプローチで、科学的に正しい挙動なのかはわからないが、重力発生!酸性血液ビチャ!穴!みたいな流れは新鮮。

●小惑星帯との衝突
レインたちは小惑星帯との衝突という危機にも直面していた。ロムルス到着時点では衝突まで36時間あったのだが、貨物船の衝突で回転軸がずれて47分に短縮される。そこからは、本編の進行と、衝突までの時間がリンクしリアルタイムで進んでいく、緊迫感ある展開となる。

宇宙に漂う閉鎖空間の中で未知の生物に襲われるが、最後まで諦めずに戦い、勝利する。そのシンプルなプロットを見ても、本作はエイリアンの原点回帰ムービーだと言えるだろう。仲間が一人ずつ殺されていく展開や、会社の利益を最優先するアンドロイドの存在もオリジナルを彷彿とさせるものだしオマージュも多い。ゼノモーフの生態についても、クローン設定でありながら、比較的初代に近い物を感じる。

一方で、印象に残る新たな切り口も多かった。X線照射装置で体内にエイリアンを発見!という流れは、薄々予想はできたもののゾクゾクした。また、音を立てず息を殺してフェイスハガーの大群を突っ切ろうとするのも、これまでにない戦略である。一部勢いで押し切った感やツッコミどころもあるが、新たにエイリアンの世界に触れる人にも、これまでエイリアンに親しんできた人にも程よく刺さる塩梅になっていたと思う。残念なのは、オフスプリングに好き要素が微塵もなかったことかな。

シリーズのまとめ記事はこちらから☟

基本情報

【公開年】2024年
【監督】フェデ・アルバレス
【キャスト】ケイリー・スピーニー、デヴィッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセード、スパイク・ファーン、アイリーン・ウー、ダニエル・ベッツ
【登場人物】レイン・キャラダイン(ジャクソン星鉱員)、アンディ(アンドロイド)、タイラー(レインの元カレ)、ケイ(タイラーの妹)、ビヨン(タイラーの従弟)、ナヴァロ(ビヨンの友人)、ルーク(アンドロイド)
ポストクレジットなし

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