
ウッキウキで仮装してた分、落差がすごい
【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり(軽微)、子ども被害:あり、動物被害:なし
事実関係・疑問点の整理
黒幕、目的、そして矛盾
●ハロウィン行方不明事件
ハロウィンの夜、息子チャーリーの希望で、マイクはご近所のハロウィンイベントへと繰り出した。共に仮装してテンション高く出かけたものの、イベント会場でチャーリーが忽然と姿を消した。すぐに警察も乗り出して捜索にあたるが、見当たらないまま終わる。ここでポイントなのは、別にマイクはハロウィンに浮かれてチャーリーから目を離していたわけではないことだ。アイスを購入する際も、しっかりとチャーリーの手を握り、反対の手で支払う気の遣いようだった。それでも回避できなかったことが、行方不明事件の不可解さを表している。
●魔女狩り
行方不明事件から約1年後、超常現象がスタートし、その一環でクリステンは自傷行為で腕にシンボルマークを刻んだ。その模様から、マイクの同僚ハンナは【ケルト復興主義】と、【かつてニューヨークで起きた魔女狩り】の事実へとたどり着いた。魔女狩りの顛末は、下記の通り。
約300年前、アイルランドからケルト復興主義者がアメリカへと入植
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1679年、ニューヨークでインフルエンザが大流行
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住民は、「アイルランド人の黒魔術のせい」と考え魔女狩りを開始
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入植者であるアイルランド人、アニー・ソークインが魔女として捕らえられた
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アニーの見ている前で3人の子どもは、顔に袋を被せられ火あぶりになった
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アニーも火刑となり「毎年3人ずつ子どもを奪って仕返ししてやる!」と叫びながら死亡
実際にアニーが魔女だったのか、インフルエンザを流行らせたのかは、明言されていない。
●事件の真相
魔女狩りで殺されたアニーが“老婆”の霊となり、復讐のために毎年3人子どもを攫うという、ハロウィン行方不明事件を起こしていた。今年のターゲットの一人が、主人公マイクの息子、チャーリーだったというのが真相だ。(なお作中では、ハロウィンに行方不明になった子どもの戻り率が顕著に低いという事実が魔女による誘拐事件の裏付けとなっているが、現実にはそういった統計は見当たらない)
●老婆とハロウィン
マイクがたまたま声を掛けた自称お役に立てない女性教師が語ったのは、下記のそれなりに重要な事項だった。
・(クリステンの腕の)三女神のシンボルは魔女の象徴で、右向きの月は老女を表す
・その魔女は、年に一度だけ子供を3人攫いにくる
・サムハイン祭り(ハロウィン)に、2つの世界を隔てる扉が開く
・前年に攫わられた子どもだけはそこを通れる
・老女は子を偲んで泣く
特に下3つのポイントがヒントとなり、マイクがチャーリーを助け出す展開を迎えた。お役に立てないどころかMVPである。
●アニーの矛盾
アニーの絶望感と、世間への恨みは理解できる。しかし、やっていることには腑に落ちない点も多い。特に、殺すor殺さないの選別が謎である。
<死亡>
霊能力者:チャーリーの部屋を霊視、アニーの存在に辿り着く可能性があったので殺された
ハンナ:過去の出来事が書かれた本を読み上げた、何故殺されたのか謎
<生きているが重症>
タクシー運転手:マイクとクリステンを乗せただけ、マイクたちより重傷なのが謎
<無傷生存>
盲目の男性:“扉”のある倉庫で暮らしマイクを案内、何故ノーダメージなのか謎
お役に立てない女性教師:核心となる事実を全部語り尽くす、何故ノーダメージなのか謎
また魔女の能力の効果や範囲も曖昧で、なんでもアリ感も強く、逆に恐怖が薄れた。そもそもハンナを突き落とせるくらいなら直接マイクやクリステンを排除した方がアニーの目的に沿うはずで、運転手はとんだとばっちりである。
いろいろ尻すぼみの展開
●フェードアウト刑事
チャーリー行方不明事件担当の刑事は、マイクが超常現象の可能性を示唆するとミアの家まで足を運ぶ。なんだかんだ言っても協力的なシゴデキじゃん!と思わせておいて、その後の捜査には特に繋がらず、中華料理の火力に驚いただけの無駄足になっていた。また、検視官が「ハロウィンぽいやべぇ死体だよ」と霊能力者の遺体を見せるも「うわぁ……」というリアクションのみで終わる。ヒントを全てスルーし、気付けば彼自身も終盤出番ナシという、なんとも中途半端な存在だった。
●事件、あっさり終了
いくらなんでも、クライマックスが簡単すぎて逆に度肝を抜かれた。
普通に倉庫に到着
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案内役の盲目男性が時計一本と引き換えに扉まで案内
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扉は勝手に開いていた
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普通に橋を渡っただけであちらの世界に行けた
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アニーの家と思しき家屋に簡単に入れた
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さっさと見つけたチャーリー他2名と手を繋いで橋を渡れた
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チャーリーの鶴の一声で集まった霊たちが、魔女を排除
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無事生還!やったね!マイクも許されたよ!
それまでのてんやわんやが霞む楽勝さで、マイクは単なる引率の大人と化していた。扉の向こうの世界のシステムも謎で、どこまでが現実と同じ物理法則なのか、どこまでどう魔女の力が作用するのか、不明な点ばかりでマイクたちの緊張感も共有できないまま終わった。
ラストの意味を無理やり考える
●まさかのミッドクレジット
映画で最後に映るのは、ハゲワシに啄まれるハンナがカッと目を見開いたシーンである。彼女の遺体は、一夜明けても工事現場の鉄骨に刺さったままだった。それも知らずに、チャーリーと再会してハッピーエンド風にしているマイクとクリステンには、なんともモヤモヤするところだ。
●魔女の連鎖?
あの3羽のハゲワシは、アニーの3人の子どもの化身と思われる。であれば、3羽のハゲワシに啄まれるというのは、3人の子どもに自身の血肉を分け与える姿とも言える。アニーを失った3人の子どもが縋る先として次の魔女を求め、ハンナが選ばれた、なんていう筋書きも妄想可能な1シーンだった。
感想
元が短編小説(未読)のためか、90分超に引き延ばしたことで中弛みしてしまった。ホラーと呼ぶには恐怖要素があまりに少ないし、多くのツッコミどころと残されたままの謎がある。それでも、いかにもハロウィンな雰囲気満載ではあるので、ライトに楽しむファンタジーとしてはいいのかも知れない。
ところで、本作で一番背筋が凍ったのは、チャーリーが行方不明になった瞬間である。実際には幽霊の仕業で防ぎようもなく、マイクに落ち度はなかった。それでも、マイクの罪悪感を想像すると、胸が詰まって吐きそうである。
しかし、クリステンがいつまで経ってもマイクを責め続け、挙句「私の子ども」と言って泣き出すのは、いくらなんでも自己中心的過ぎだろう。それでもマイクがキレ返さないのは、自分のせいという後ろめたさがあるからで、本当に切ない。チャーリーも無事に戻ってきたことだし、今回のことを教訓として、夫婦仲良く、嫌味もなく、穏やかな家庭環境で空白の1年を埋めていってあげて欲しい。
基本情報
【公開年】2016年
【監督】ウーリ・エーデル
【キャスト】ニコラス・ケイジ、ジャック・フルトン、サラ・ウェイン・キャリーズ、ベロニカ・フェレ
【登場人物】マイク・ローフォード(大学講師)、チャーリー(マイクの息子)、クリステン(マイクの妻)、ハンナ(マイクの同僚)
【ポストクレジット】なし(ミッドクレジットあり)






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