【考察】映画『ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄』|ハロウィン失踪事件の真相

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり(軽微)、子ども被害:あり、動物被害:なし

ここからネタバレがあります!未視聴の方はご注意ください!

ハロウィンの夜、ご近所のハロウィンイベントで息子チャーリーが姿を消した。それから約1年後、超常現象がスタートし、一人調査を続けていたマイクは真相へと近づいていく

●事件の真相
1679年、インフルエンザの大流行に端を発した魔女狩りで、アイルランド人の女性アニーが殺された。そのアニーが“老婆”の霊となり、復讐のために毎年3人子どもを攫うという、ハロウィン行方不明事件を起こしていた、というのが真相だった。なお作中では、ハロウィンに行方不明になった子どもの戻り率が顕著に低いという事実が魔女による誘拐事件の裏付けとなっているが、現実にはそういった統計は見当たらない。

●アニーの矛盾
アニーの絶望感と、世間への恨みは理解できる。しかし、やっていることには腑に落ちない点も多い。特に、殺すor殺さないの選別が謎である。

<死亡>
霊能力者:チャーリーの部屋を霊視、アニーの存在に辿り着く可能性があったので殺された
ハンナ:過去の出来事が書かれた本を読み上げた、何故殺されたのか謎
<生きているが重症>
タクシー運転手:マイクとクリステンを乗せただけ、マイクたちより重傷なのが謎
<無傷生存>
盲目の男性:“扉”のある倉庫で暮らしマイクを案内、何故ノーダメージなのか謎
お役に立てない女性教師:核心となる事実を全部語り尽くす、何故ノーダメージなのか謎

また魔女の能力の効果や範囲も曖昧で、なんでもアリ感も強く、逆に恐怖が薄れた。そもそもハンナを突き落とせるくらいなら直接マイクやクリステンを排除した方がアニーの目的に沿うはずで、運転手はとんだとばっちりである。

●フェードアウト刑事
チャーリー行方不明事件担当の刑事は、マイクが超常現象の可能性を示唆するとミアの家まで足を運ぶ。なんだかんだ言っても協力的なシゴデキじゃん!と思わせておいて、その後の捜査には特に繋がらず、中華料理の火力に驚いただけの無駄足になっていた。また、検視官が「ハロウィンぽいやべぇ死体だよ」と霊能力者の遺体を見せるも「うわぁ……」というリアクションのみで終わる。ヒントを全てスルーし、気付けば彼自身も終盤出番ナシという、なんとも中途半端な存在だった。

●事件、あっさり終了
いくらなんでも、クライマックスが簡単すぎて逆に度肝を抜かれた。時計一本と引き換えに男に案内された倉庫で、勝手に開いた扉に入り、橋を渡ったらあちらの世界へ行ける。アニーの家にも簡単に入れるし、チャーリーもわりとすぐ発見される。ラストも、チャーリーの鶴の一声で、激しい攻防もなく勝利を収めた。扉の向こうの世界のシステムも謎で、マイクたちの緊張感すら共有できないまま終わったのである。

映画で最後に映るのは、一夜明けても工事現場の鉄骨に刺さったままのハンナの死体だった。ハンナを啄む3羽のハゲワシは、アニーの3人の子どもの化身と思われる。であれば、3羽のハゲワシに啄まれるというのは、3人の子どもに自身の血肉を分け与える姿とも言える。アニーを失った3人の子どもが縋る先として次の魔女を求め、ハンナが選ばれた、なんていう筋書きも妄想可能な1シーンだった。

元が短編小説(未読)のためか、90分超に引き延ばしたことで中弛みしてしまった。ホラーと呼ぶには恐怖要素があまりに少ないし、多くのツッコミどころと残されたままの謎がある。それでも、いかにもハロウィンな雰囲気満載ではあるので、ライトに楽しむファンタジーとしてはいいのかも知れない。

ところで、本作で一番背筋が凍ったのは、チャーリーが行方不明になった瞬間である。実際には幽霊の仕業で防ぎようもなく、マイクに落ち度はなかった。それでも、マイクの罪悪感を想像すると、胸が詰まって吐きそうである。

しかし、クリステンがいつまで経ってもマイクを責め続け、挙句「私の子ども」と言って泣き出すのは、いくらなんでも自己中心的過ぎだろう。それでもマイクがキレ返さないのは、自分のせいという後ろめたさがあるからで、本当に切ない。チャーリーも無事に戻ってきたことだし、今回のことを教訓として、夫婦仲良く、嫌味もなく、穏やかな家庭環境で空白の1年を埋めていってあげて欲しい。

基本情報

【公開年】2016年
【監督】ウーリ・エーデル
【キャスト】ニコラス・ケイジ、ジャック・フルトン、サラ・ウェイン・キャリーズ、ベロニカ・フェレ
【登場人物】マイク・ローフォード(大学講師)、チャーリー(マイクの息子)、クリステン(マイクの妻)、ハンナ(マイクの同僚)
ポストクレジットなし(ミッドクレジットあり)

コメント