
【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:なし、動物被害:なし
事実関係・疑問点の整理
1年前&現在の事件
冒頭に描かれるのは、1年前のライトマートでの騒動である。感謝祭という大イベントの日、特売品を求めて店に群がる人々が半ば暴徒と化し、店側でも抑えきれず、その混乱によって何人もの死者やけが人が出た。本編の舞台となるのは、そこから1年後のプリマスである。
ライトマート事件の“加害者”たち
連続殺人事件の被害者は、基本的に1年前のライトマート事件に関わった人間たちだ。経営者トーマスの家族に加えて、煽り要因だったハノーヴァー校生徒、事件当時カートを押してアマンダにガツンガツンしていた七面鳥青年ライオネルや、同じくカートを押していたダイナー店員のオバちゃん、逃亡した警備員マニーなどである。ジェシカが防犯カメラのバックアップを提供したために、犯人であるエリックは彼らの情報にたどり着いた。助けを求めての行動が逆に犯人を手助けしていたという皮肉な構造だ。
語られた“動機”に疑問符
●シンプル復讐譚
保安官のエリックが殺人事件を犯した動機は、ライトマート“事故”によって交際相手のアマンダが殺されたから、というもの。騒動が風化し、誰も責任を取らないまま日常が訪れていることで、正義感が暴走したようにも見える。じゃあ仕方ないよね、と言える話ではないが、分かりやすい動機ではある。しかしよくよく考えると、”交際相手”という前提自体に怪しさが残るのだ。
●ほんとうに不倫?
エリックの元妻は他界し、妻の死後アマンダに心を支えられ、好意を抱き、関係が発展したと語るエリック。殺害される時点でアマンダはミッチの妻なので、それが本当であれば二人は不倫関係にあったということになる。しかし、あの日ライトマートをアマンダが訪れたのは、ミッチに差し入れをするためだったし、大混乱の中で彼女が必死に捜したのはミッチだったし、なんなら一度もエリックの名は呼ばなかった。夫の前とは言え、愛する相手ならば、さすがにあの大騒動の中で多少なりとも気に掛けるのではないだろうか。本当に2人が両想いの不倫関係にあったのか、疑問が残る。
●エコー写真
エリックが、アマンダとの関係を告白している間、見つめた先にはエコー写真があった。しかしそれがエリックとアマンダの子なのかは不明だ。明らかに“胎児”と分かる写真だったので、相当な週数と思われるが、生前アマンダのお腹が膨らんでいたようには見えなかった。アマンダがかつて流産した時のもの、エリックの亡き妻が妊娠していた時のものなど、様々な可能性はあるが、どれも断定できる要素はない。ここまでくると、エリックの動機がこの映画における一番のホラー要素と言えるかも知れない。
●エリック再び?
ラストは、平和を取り戻したはずのジェシカを燃える体で捉えようとするエリック、という、夢の描写で終わる。もしこれが続編を示唆するなら、次のジョン・カーヴァーは誰だろうか。今回死体が回収されていないことからエリックの可能性は残っているが、そうなるとマイケル・マイヤーズ現象(ちょ、おま、いつ人間やめたんだよ!現象)が起きる。
感想
とにかく人の襲われ方・死に方の種類が多くて、次はどんな手でくる!?という楽しさがあった。銃殺や首チョンパなどの定番(?)に加え、買い物カートで頭皮ベロンとか、ごみ箱で体真っ二つとか、トランポリンの下からめった刺しとか、オーブンで焼くとか、肉叩きで頭蓋粉砕とか、オリジナリティあるゴアも多く、ツッコミどころを抱えつつも見ごたえは十分。比較的スラッシャーは見てきた方がだが、あれだけの種類を1作品でこなしているのは目新しい。
SNSの使われ方が三者三様だったのも印象的だ。バズ目的で使う者(エヴァン)、リベンジ晩餐事件で恐怖を煽り、捜査をかく乱する者(エリック)、そしてスマホ生配信で真実を世に晒す者(ジェシカ)。それにしても、エヴァンが1年以上同じ内容の動画を擦り続けているのはどうなんだ。また、経営者と労働者の対比、お得を求めてブラックフライデーに集まる群衆が大事故で命まで失う皮肉も効いていたが、軽さが勝って説教臭さはほぼなかった。
個人的に、マッカーティーのようなキャラは嫌いじゃない。パーティーのシーンは若干存在意義が不明だったが、主人公サイドに武器まで提供してくれた。結局スキューバは安全装置が外せず銃を使えなかったオチも含めて、気に入っている。
基本情報
【公開年】2023年
【監督】イーライ・ロス
【キャスト】ネル・ヴェルラーク、アディソン・レイ、ジェイレン・トーマス・ブルックス、マイロ・マンハイム、パトリック・デンプシー、リック・ホフマン、ジーナ・ガーション
【登場人物】ジェシカ(大学生)、ギャビー(大学生/ジェシカの友人)、ボビー(大学生/ジェシカの彼氏)、ライアン(大学生/ジェシカの友人)、エリック(保安官)、トーマス(ライトマート経営者)、アマンダ(ミッチの妻)
【ポストクレジット】あり






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