「悪魔のいけにえ」(1974年)

ジャンル:ホラー
監督:トビー・フーパー
キャスト:マリリン・バーンズ、アレン・ダンジガー、ポール・A・パーテイン、ウィリアム・ヴェイル、テリー・マクミン、エドウィン・ニール、ジム・シードウ、ガンナー・ハンセン
登場人物:サリー・ハーデスティ、ジェリー(サリーの恋人)、フランクリン(サリーの兄)、カーク(フランクリンの友人)、パム(カークの恋人)、ナビンズ・ソーヤー(ヒッチハイカー)、ドレイトン・ソーヤー(老人)、ババ・ソーヤー(レザーフェイス)
ポストクレジット:なし
ポテッチの好き度:60/100(好き)

超ざっくりあらすじ

墓荒らしが起きているという報道を受けて、サリーたちは先祖の墓を確かめるためにテキサスを訪れた。途中、謎のヒッチハイカーとの騒動もあったが、一先ず旧ハーデスティ家に到着した面々。安心したカークとパムは川遊びに出かける。しかし、その後二人がたまたま見つけて訪ねた民家には、とんでもない一家が暮らしていた。

ここからネタバレ注意

事実関係・疑問・つっこみ など

ストーリー的には【若者たちが異常な家族に次々殺されていく】というだけで、大きな謎などはない。そのため、今回は各人物に焦点を当てる形で振り返っていく。

●ヒッチハイカー
サリーたちが乗せたヒッチハイカーの正体は、殺人カニバル一族であるソーヤーファミリーの二男だった。当初から、自らの手を切ったり、フランクリンの腕を切ったりする異常性を見せた。のちに、墓荒らしの実行犯だったことが判明する。サリーにウザ絡みをし続け、ラストまで夢中で追いかけ回した結果、なんの脈絡もなくトレーラーに轢かれて死亡する。

●ガソリンスタンド店員/コック
ガソリンが品切れという、微塵も役に立たないガソリンスタンドの店員は、ソーヤー家の長男だった。サリーたちは給油を諦め、そこでバーベキューソーセージを購入していたが、そうと知らずに人肉ソーセージを食べていた可能性は高い。コックは後半、サリーを縛り上げ家に運ぶ役回りとなるのだが、拉致している最中に電気代を気にしたり、壊された家に激怒したりと、僅かな描写で完全に倫理観が狂っているのが伝わる。終盤は、(人肉で)料理はするが殺人はしたくない!と特殊なポリシーを掲げて、静かにフェードアウトしていた。

●レザーフェイス
ソーヤーの家に入ってしまったカークを、登場と同時にハンマーの一撃で殺害する。後を追ったパムも即座に肉フック行きにしていた。その後、カークたちを探しに来たジェリーも瞬殺すると、ジェリーを探しに来たフランクリンもチェーンソーで切り刻む。とにかく働き者である。家を壊したことを怒られオドオドする姿には、チェーンソーで無双していた男とは思えない、妙な人間臭さがあった。ラストは、負傷しつつも必死に追いかけたサリーに逃げられ、悔しさからチェーンソーを振り回して踊り出す。このシーンは、ホラー映画史を代表する芸術的で鮮烈なエンディングとなっている。

●じい様
ほぼミイラ。ソーヤー家の家長でありレザーフェイスたちの祖父である。短い出番ながら、サリーの出血した指を赤子のようにチュパチュパするという超絶気色悪い姿で、見事に爪痕を残した。

●カークとパム(死亡)
家に着くなり川遊びに出かけ、本作のお色気担当かと思わせておいて、唐突に犠牲になる2人。カークは、住居へ侵入➡いきなりレザーフェイスが現れて頭に一撃を食らい、犠牲者第一号としてはなかなか衝撃的だった。パムは、気色の悪いソーヤー家の創作物をじっくり味わって、視聴者と共有。その後、追加の来訪者にびっくりするレザーフェイスに連れ去られフックに掛けられる。

●ジェリー(死亡)
サリーの恋人として、おじいさんのお墓確認のため遠路遥々ドライバー役を立派に務めた。川遊びから戻らないカークたちを探しに行ってソーヤー家を見つけると、早々にパムin冷蔵庫と対面するも、レザーフェイスに見つかってしまう。そして訳も分からないうちにやられる。秒でやられる。

●フランクリン(死亡)
かなり卑屈な性格に見える。気が小さく、誰よりもヒッチハイカーに怯え、引きずっていた。ジェリーを探す場面では【サリーを1人で行かせられない】と同行を申し出るが、むしろ【自分一人で残るのが怖い】が本音に思えてしまった。そして、最後はレザーフェイスのチェーンソーで上半身をザックリズブズブいかれる。

●サリー(生存)
フランクリンと共にジェリーを探しに行ったところで、初めてレザーフェイスと出会う。それ以降、ほぼずっと叫んでいる。確かに、マスクを被りチェーンソーを持った大男が暗闇から突然現れたらびっくり仰天して叫びたくもなるだろう。それにしてもずっと叫んでいる。じい様がへなちょことか、トレーラーが通りかかるとか、レザーフェイスが足を切っちゃうとか、いろんなラッキーが重なって奇跡的に生き残った。ラスト、気が触れたかのように泣き笑いを続けるサリーは、もはや伝説である。

ほぼBGMもなく、まるでドキュメンタリーでも見ているかのように淡々と進んでいく本作。そこが恐怖を醸し出す点でもあるが、中には「怖いはずなのに笑っちゃいそう」な、コメディと紙一重のシーンもあった。下記に例を挙げる。

●大絶叫晩餐
サリーは、気付くとソーヤー家の面々と食卓を囲まされていた。目覚めたサリーが叫び、ヒッチハイカーが小馬鹿にし、レザーフェイスがじっくり観察し、コックが状況を面白がる晩餐シーンとなるのだが、それがひたすら続く。じい様のくだりと合わせると、物凄い時間叫びっぱなしのサリー。気付けば夜も明けていた。

●トレーラーでのワンシーン
10人中10人が指摘するシーンだと思うが、やはり触れずにはいられない。サリーが偶然ヒッチハイカーを轢いてくれたトレーラー運転手に助けを求める場面である。運転手はサリーの身に危険が迫っていると察して運転席に乗せてくれた。そして反対側から降りた。いや、降りるんかーい!

ちなみにその後、レザーフェイスが運転席のドアをチェーンソーでガリガリする。しかし切れない。いや、切れないんかーい!次の瞬間、レザーフェイスは車を降りた二人に気付き走って追いかける。すると、今度は運転手がレンチを投げて見事直撃、レザーフェイスは倒れた。いや、当たるんかーい!そしてチェーンソーがいい感じにレザーフェイスの太ももに食い込んでいく。いや、運転手MVPかーーーい!

感想

83分というコンパクトな作品ながら、そこに詰め込まれた程よいグロさと、ブラックコメディのような古き良きホラー演出と、強烈なキャラクター【レザーフェイス】の魅力がたっぷり詰まっている。何年経っても定期的に見返したくなる作品の1つだ。

スラッシャームービーの代表格でもあるのだが、実は人体破壊が露骨に映っているシーンは多くない。フックにパムをひょいと引っかけるシーンも、カークをチェーンソーで切り刻むシーンも、直接は映していない。にも関わらず、痛っ!となってしまうのだから見事である。

レザーフェイスと彼の家族がやっていることはとんでもないのだが、何故だか憎めない不思議な魅力がある。大きな要因としてはレザーフェイスの絶妙なキャラクター設計によるものだとは思う。加えて、まるで屠殺場でも映しているようなナチュラル加減と惨殺事件のアンバランス感、そしてどこかクスッとしてしまう各キャラクターの細かい描写のお陰もあるだろう。とはいえ、実際にあんなのが目の前にいたら当然恐怖で即気絶する。そしてきっと、その間に肉フック行きになるのだ。

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