
ジャックの顔面どうなったかなって、ずっと考えてる
【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり(軽微)、子ども被害:あり、動物被害:なし
事実関係・疑問点の整理
”降霊”で生計を立てるザンダー家
●ウィジャを使って本物へ?
アリスはイカサマ用小道具としてウィジャボードを買ってきた。すると実際に降霊が出来てしまい、ドリスはロジャーの霊と会話して、家に隠された大金を発見する。最初は半信半疑だったアリスも、夫しか知らない秘密を言い当てられたことで信じるようになった。立ち退きも回避できた上、以降はドリスを霊媒師として、本当の霊媒ビジネスが出来るようになった。めでたしめでたし、となるはずもなく、中盤からドリスの様子がおかしくなって真相が明らかになっていく。
●やっぱりイカサマ
しかし実際は【対象者の降霊】に成功していたわけではなかった。トム神父によって【ドリスに憑いている“なにか”が依頼者の心を読んでいるだけ】だと判明したのだ。そして嘘がバレるのと同じタイミングで、“なにか”は襲撃を始める。マイキーを自殺させ、神父を吹っ飛ばして殺した。最終的にザンダーファミリーはアリスとドリスが死亡、唯一残ったポーリーナは精神科病院送りとなってしまった。
死者の魂を”悪”にさせる存在
●”なにか”の「器」となる
ウィジャを購入してすぐ、アリスが一人でボードを使うと、別室に居たドリスにマーカスの霊が降りる。この時点で人的被害はない。白目も剥かない。しかし、その後ドリスは首の痛みを訴え、黒コゲの人型に口から侵入された。マーカスの霊が”なにか”に乗っ取られ黒コゲの悪霊的存在になり、今回ドリスに侵入したと思われる。そして侵入を境に事態は悪化していき、人的被害も出始める。
●「器」の役目
作中、器となったドリスによって被害を受けた面々は下記の4人である。
◆ジャック:ドリスを狙ったパチンコが制御不能となり自爆(怪我の程度など不明)
◆マイキー:ドリスに何かを囁かれ、その後首吊り自殺
◆リーナ:ドリスに何かを囁かれ悪夢を見る
◆トム:乗っ取りは回避するも、叫び声で吹っ飛ばされ階段に頭を打って死亡
“なにか”は、「声が欲しい」「器が欲しい」としきりに言っていたし、実際声によって何度も呪いが発動していた。しかしジャックに関しては無言でコントロールしていたので、ある程度のことは声がなくても出来るらしい。可能性としては、対象のメンタルの状態などで干渉手段が変わるというのは考えられる。つまり、心の隙が大きい、或いは年齢からくる未熟さによって、ジャックについては声すら発しなくてもコントロール出来てしまったという推測はできる。
●“なにか”を止めるために
家族が大ピンチを迎えると、唐突にロジャーの霊が降りてきてリーナに【口を縫えば呪いを止められる】というヒントを与えた。そしてリーナは妨害を受けつつも、なんとかドリスの口を縫う。すると悪霊の暴走は止まったが、ドリスも死んでしまった。ここで示されるのは、少なくとも【口を縫う】が正しい対処法ではなかったということである。何故ロジャーは誤った救済策を伝えたのか。可能性としては、あのロジャーが偽物、もしくは“なにか”に乗っ取られた状態だったということである。見た目の様子からは前者の可能性が高い。むしろ本物のロジャーの霊だったのなら、『もっと早く出て来いよ』とか『なんでドリスを殺すようなこと言うんだよ』といった、残念な議論が生まれてしまうだろう。
●マーカスの過去
ドリスに侵入していた悪霊の”元”はポーランド人男性マーカスである。彼の運命は悲惨なものだった。
◆第二次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜になる
◆強制収容所に入れられ、そこで“悪魔の医者”からオカルト的人体実験をされる
◆連合軍に救出されて米国に移るも精神科病院に入院となる
◆その病院で“悪魔の医者”と再会してしまう
◆“悪魔の医者”の自宅(現ザンダー宅)へ連れて行かれる
◆他の被害者と共に、舌を切られ、口を縫われ、監禁され、実験を繰り返される
◆やがて死亡するが、その後は、声も出せない闇の中で何かに乗っ取られた
マーカスがWW2後に米国に移ったのであれば、自宅実験が行われていたのは【1945年頃から】である。また、リーナの年齢を踏まえると、ザンダー家は【1950年頃】にはあの家に住み始めていたことになる。つまり、“悪魔の医者”はわずか5年でたくさんの実験をして死者を出し、壁に死体を埋め込み、その一切がバレることなく退去したことになる。凄腕である。
●”なにか”の正体は
非業の死を遂げたマーカスは、死後の闇の中で”なにか”に乗っ取られたと手記を残していた。しかし本編では”なにか”の正体が明確に語られることはなかったため、推測するしかない。たとえば、①実験の被害者たちの絶望や恨みなど負の感情が複合体として”なにか”へ変化した、②被害者たちの怨念が”なにか”を引き寄せた、などが考えられるだろう。しかし②に関しては少々唐突過ぎるし、それを連想させるようなシーンも一切ないことから、①を推したい。極度の苦痛、恐怖、そして絶望が、『オカルト的人体実験』という後押しを受けて、個人性を失うほどの”悪意そのもの”へと転じたと考えると、辻褄が合うのではないだろうか。
ラストの意味と前作との関係
●地下室での悲劇
ドリスの死亡により呪いは解けたと思った矢先、リーナは白目を剝いてアリスを刺し殺した。リーナに憑依したのが、ドリスに取り憑いていたマーカス由来のものか、全く別の人物の霊かは明言されていないが、”なにか”の影響を受けた存在であることは明確だろう。
●病院でのウィジャ
入院中にリーナは病室で自作ウィジャを実行し、ドリスを呼んだ。パパと天国に行ったのに呼び戻された、とするとあまりに悲惨だが、そもそもロジャーの霊が偽物だった場合、あの昇天シーンすらも悪霊の偽装工作となるので複雑な気持ちだ。ちなみに呼び出されたドリスは黒コゲではなかったが、金色の目で天井を逆さ移動するのは、どこから見ても悪霊にしか見えなかった。なお、ポストクレジットでリーナが振り返る直前に首元を押さえていたのは、“なにか”が侵入していることを意味するはずだ。マーカスと関係があるかは不明だが、あの家の悪霊たちの呪いが続いていることは明らかである。そうなると、病室でウィジャを実施したことすら、悪霊の誘導によるものという可能性が出てくる。
●そして『呪い襲い殺す』へ
ここからは、後日譚となる前作『呪い襲い殺す』に関わるので、伏せて記載する。
前作との関連
ポストクレジットで、入院して数十年が経ったリーナの元へ、姪を名乗る女性が来た。その女性こそ、前作の主人公レインである。前作では、主人公の友人が旧ザンダー邸でウィジャを使用し再び呪いが始まる……というストーリーにおいて、リーナが嘘の解決策【ドリスの口の糸を切る】を教えて事態を悪化させた。本作を踏まえると、やはりリーナには“なにか”が憑いており、悪霊にとって有利になる方法を提示したのだと思われる。一方で、本作ラストでドリスの霊が病室のウィジャで普通に現れていた点、前作でドリスの口が縫われたままでも呪いが十分発動していた点など、腑に落ちないところは多い。
感想
怖さも展開も月並みで、目新しさや強烈なインパクトのある作品ではない。それでも、押さえるべきところは押さえたライトなホラーとして十分楽しめた。霊感のある少女、ただの降霊と思わせて悪霊の仕業という捻り、そして親子対決と締め括りの【呪いは続くよ】エンド。ベタではあるが、確かな演技と効果的な演出に支えられて最後まで見られた。少なくとも、先に公開された後日談となるシリーズ第一弾より全体的に面白かったと思う。
ただ、考察しようにもヒントが少ない・矛盾を感じる点がいくつかあり、腑に落ちないところがあるのはモヤモヤするためハマり切れなかった。気になったのは、悪魔の医者のオカルト人体実験である。何を目的とした実験かすらも不明だが、それが原因でマーカスたちは死後も苦しめられるようになったのか、それとも……ここまで来たら、悪魔の医者について掘り下げる前日譚の前日譚も見たい気がする。出来れば今回と同じ監督で。
前作のレビューはこちら:【考察】映画『呪い襲い殺す』|ウィジャボードが引き起こした悲劇のすべて
基本情報
【公開年】2016年
【監督】マイク・フラナガン
【キャスト】エリザベス・リーサー、アナリース・バッソ、ルル・ウィルソン、ヘンリー・トーマス、パーカー・マック
【登場人物】アリス・ザンダー(インチキ霊媒師)、ポーリーナ(学生/ザンダー家長女)、ドリス(学生/ザンダー家次女)、トム・ホーガン(神父)、マイケル・ラッセル(学生/リーナの友人)
【ポストクレジット】あり





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