
ジャンル:ホラー
監督:ラース・ダモワゾー
キャスト:マイケ・ネーヴィレ、バート・ホランダース、アニック・クリスティアンス、ベンジャミン・ラモン、クララ・クリーマンズ
登場人物:アリソン(手術希望の女性)、ミカエル(アリソンの恋人)、シルビア(アリソンの母)、ダニエル(旅行代理店職員)、ヤーニャ(クローチェク病院勤務)
ポストクレジット:なし
ポテッチの好き度:55/100(好き)
超ざっくりあらすじ
巨乳に悩むアリソンは胸を小さくする手術のため、恋人ミカエル、母シルビアと共に、東欧にあるクローチェク病院を訪れた。そこは芸能人もお忍びで訪れるほど信頼のおける病院、のはずだったが、説明不足や不衛生な環境にミカエルは不信感を抱く。ミカエルはアリソンに手術の中止を求めるが、聞かないアリソン、そして何故か騒がしくなる周囲。やがて二人は、ゾンビに囲まれ手術どころではないことを知る。

事実関係・疑問・つっこみ など
舞台は病院
●クローチェク病院
美容整形をメインとする病院で、院長は医師のクローチェク。かなり杜撰な管理体制に見える。
・立地&外観:そこそこ田舎にある、古びた建物
・衛生管理:患者のみならず、医師も手術室で平気で飲食するくらいに行き届いていない
・セキュリティ:部外者(ダニエル)が職員のIDを入手し、薬物にアクセス出来る程度のザル具合
・監視カメラ:存在はしているが、警備員などが見ている描写はない
●整形以外にも
ヤーニャは「若い女性の中絶手術を無料で引き受けている」と慈善事業のごとく語る。しかしダニエルは、引き受けている理由は胎児由来の幹細胞治療(まだ実験段階)に使用するためと暴露。また、ミカエルが院長室で謎のホルマリン漬け生物などを大量に発見しており、幹細胞治療以外にもいろいろ怪しい実験をしていた模様。
●Dr.クローチェク
人類のために老化を止める手段を模索していた、らしい。その一環で、【酵素を用いた薬】を作り投与するという【特殊治療計画】を立ち上げた。志が本当に高かったのか、根っからの金の亡者だったのか、単にヤーニャの言いなりだったのか、本心は不明。
●特殊治療計画の失敗
結局、【特殊治療計画】の【酵素を用いた薬】は失敗作だった。勝手に投与された“被験者番号ゼロ”の女性はゾンビ化、拘束していたがミカエルがうっかり解放し、ゾンビウイルスが蔓延する。
丁寧且つ適当
●丁寧なところ
終盤になって後付け的に出てくる設定などはない。ミカエルが血液恐怖症のうっかり屋さんであることや、ダニエルが身勝手なチャラ男であることは序盤からしっかりと描写されている。手作り爆弾の伏線などもしっかり回収していた。
●適当なところ
オープニングで、清掃員が物音に気付いて焼却炉の扉を開ける➡燃やされた死体の手がガッと頭を掴むシーン。結局これがなんだったのかは分からない。「被験者番号ゼロは隔離したが脱走した」と言っているので、ミカエルが逃がしてしまった女が特殊治療計画の最初の被験者のはず。だとすると、燃やされていたのは誰なのか。ゼロ番が噛みついた被害者かも知れないが、不明。ミカエルがゾンビを解放する前からゾンビの存在(且つ脱走できる環境)を見せるのは、効果的ではなかった。
グロ表現
●ちゃんとした人食い
近年はゾンビ映画であっても直接的に人を食う表現が減ってきている。そんな中本作では、嘘くさ過ぎず、誇張し過ぎず、しかしおちゃめさも残しつつ、程よい血みどろ感でカニバっていた。本記事のアイキャッチ画像は作中の女ゾンビを表現しているのだが、そのゾンビは、上半身だけで廊下に鎮座し、はみ出た自分の内臓をむちゃむちゃ食べていた。シュールなシチュエーション、リアルな内臓表現、なのに、どこか面白い。口元は布で隠されていたが、患者の下腹部を貪る医師ゾンビもキャッチーだった。
●コミカルゴア
終盤でミカエルが下水道から外に出るためゾンビの腸をロープ代わりするシーンも、しっかり内臓なのだがギャグにしか見えない。直接的な映像はなかったが、患者の脂肪吸引中にアリソンが誤って機器に触れる➡吸い出された脂肪が患者に逆流➡人体破裂、という展開も良かった。
感想
クローチェク病院には、美を求める者たちが集っていた。しかし、ウイルス感染した人々は、見た目も醜悪な人肉を貪る怪物になる。その皮肉が根底にあるので、ゾンビになった悲壮感よりも滑稽さが際立つ。制作陣は美容整形に強烈な嫌悪感でも抱いているのか!?とさえ思った。
登場人物に関しては、誰一人、感情移入できる人間がいなかった。むしろ、絶対に誰にも感情移入させないぞ!という決意の元に作られた感すらある。有名芸能人の男シュルツは名前を変えてまでペニス増大手術を受ける➡男気を見せる➡睾丸喪失という、本作随一の体を張った下ネタコメディを披露。シルビアは「若く見せる」ことに拘るも、道中では道端でトイレを済ませる非常識ぶり。アリソンは、あえてミカエルの前で別の男(ダニエル)に抱き締められてみたり、あえて罵ってから母親に斧を突き立てたり、人の心とかないんか。チャラ男ダニエルはジャンキー自己中、ミカエルは全方位空回り男で、かと言って可愛げもない。応援したくなるキャラクター不在である。
だからこそ、全滅END~そして転がる指輪~というオチを面白おかしく受け入れることが出来た側面もある。ベルギー発ということで、真面目な社会派ゾンビ映画(?)ではないかと構えていたが、ブラックジョークの効いた愉快な一作で楽しめた。





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