【考察】映画『アナベル 死霊館の人形』|アナベル人形の裏に潜む悪の正体

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり(軽微)、子ども被害:あり、動物被害:なし

ここからネタバレがあります!未視聴の方はご注意ください!

●時代背景
本作の舞台となる1960年代後半はヒッピー文化が流行していた。ヒッピーとは、簡単に言えば、反体制運動から生まれたカウンター・カルチャーで、自然回帰・ラブ&ピースな若者たちとそのムーブメントのことである。

劇中のテレビで触れていた「シャロン・テート事件」は実際の事件である。当時チャールズ・マンソンという男が率いていたヒッピー集団「マンソン・ファミリー」のメンバーが女優シャロン・テート他数名を殺害した。アナベル・ヒギンズがカルト集団に入っているらしい、という事実がそのまま犯罪と結び付いていく十分な下地があったのだ。ちなみに、アナベルが所属していたとされるカルト集団「羊の使徒たち」は架空の団体である。

●アナベルの目論見
悪魔の召喚には【近親者の血】と【無垢な赤子の血】を流す必要がある。ヒギンズ夫妻は【近親者】枠だとして、何故ミアは襲われたのか。アナベルが迷わず子ども部屋へ向かっていたことを踏まえると、人形の不思議な力に呼ばれた可能性は高い。そしてミアを襲ってアナベル人形の所有権を自分に移し、悪魔に対し【人形への憑依を了承】したのではないかと推測できる。

●アナベルの霊?
アナベル・ヒギンズの姿をした霊的な存在が何度か確認されるが、最初の事件の時点で、アナベルの霊は消滅していると推測する。“自死以降のアナベル”は、悪魔の仮の姿とするほうが辻褄が合う。エブリンも劇中で触れていたが、死霊館ユニバースでは基本「霊は場所に憑き、悪魔は人に憑く」設定なので、矛盾がない。

●悪魔の能力
作中で描かれる悪魔は、「人間側が魂を渡すことを承諾しなければ勝手には奪えない」、つまり、ダイレクトに殺すことは出来ない。また、リアがいない!と言うのは幻覚能力で見せた事象とする方が、悪魔のその他の行動とは整合性がある。さくっと人間をどこかに空間転移させられる力を持つなら、もっと他に手っ取り早い方法があるはずだからだ。思ったよりも能力の制約は多そうである。

●アナベル人形の必要性
「誰かが所有している物を介する」+「持ち主に媒介の許可を得る」条件を満たさないと人間に影響を及ぼせない。媒体となる何かさえ封じ込めればいいというのも、理屈が通る。作中では、アナベル・ヒギンズがアナベル人形への干渉を許可したため、力を発揮することが出来た。悪魔の“人間界干渉用ツール”として、人形が必要なのである。

●悪魔の正体は
本編中で明言されないが、ミアが参照している本に「マルサス」の記載がある。そのため、ファンの間でこの悪魔はマルサスと呼ばれている。

各作品の事件の時系列としては下表①、映画公開順では下表②の通り。

本作は死霊館にも登場するアナベル人形にフォーカスした、【悪魔祓い】のない悪魔系人形ホラーとなるアナベルシリーズ第一弾となる。

死霊館全体のまとめレビューはこちら➡【2026最新】死霊館ユニバース全作紹介!【シリーズ解説&見る順】

幽霊要素、カルト要素、からの、悪魔出現という、オカルトホラーのエッセンスをいろいろ取り入れて散漫になった、そんな印象を受けた。根性論で対処しようとしていた神父は、いざ動き出したと思ったらあっさり吹っ飛ばされて負傷する。ガイド的役割のエブリンも、悪魔に有効な対抗手段は持っておらず友情パワーで代理死する。そうして対悪魔の素人しか登場しない本作は、ハッピーエンドの皮をかぶって唐突に終わった。

単体の映画としてやや説得力に欠ける展開が多く、アナベル人形の不気味さと、何回トライしても地下で開くエレベーターの、コントみたいなくだりだけが記憶に残るような仕上がりだった。ボタンをガチャガチャ、ドアがチーン、ハイまた地下ですぅ!のテンポの良さに、「いやそのくだり何回やんねん!」とツッコミを入れたのを覚えている。

アナベル人形は引き攣り笑いみたいな表情のビスクドールでそもそも不気味だ。なので、レア物らしいが喜んで受け取るミアに共感出来ない。人形の並んだ棚が本作で最もホラーに見えたし、こっそり覗いてる悪魔の方が、まだ可愛い気がした。ちなみに、実際のアナベル人形はラガディ・アン人形(布製)だが、見た目は本家の方が可愛いと感じた。

基本情報

【公開年】2014年
【監督】ジョン・R・レオネッティ
【キャスト】アナベル・ウォーリス、ウォード・ホートン、トニー・アメンドーラ、アルフレ・ウッダード、ケリー・オマヒー、ライアン・ホウ、エリック・ラディン
【登場人物】ミア・フォーム、ジョン(ミアの夫)、ペレズ(神父)、エブリン(書店店員)、シャロン・ヒギンズ(ミアの隣人)、ピート・ヒギンズ(ミアの隣人)、クラーキン(刑事)
ポストクレジットなし

コメント