【考察】映画『ゴーストシップ』|40年の時を経て発見された豪華客船の秘密とは

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:あり、動物被害:なし

ここからネタバレがあります!未視聴の方はご注意ください!

初対面の男の依頼により、サルベージ船アークティック・ウォリアー号の面々が漂流船の調査に向かうが、その船内で怪奇現象に遭遇する、というのがメインのストーリーである。ちなみに、簡単に言うと、なんらかの事情で航行不能になった船やその積み荷を回収するのがサルベージ船の役割である。

●船に潜む幽霊?
本作は客船に取り残された幽霊たちが悪さをする話ではない。むしろ幽霊たちの多くは被害者で、黒幕はマーフィーたちを誘い込んだ男、ジャック・フェリマンだった、というプチどんでん返しが待っている。フェリマンの話をまとめると、彼はサタンに仕える【魂の回収屋】で、要するにパシリだ。(性根の悪い)人間の魂に“悪の刻印”を焼き付けることが可能で、刻印を押した魂は支配下における。刻印がない人間であっても死後フェリマン/船から逃げられるわけではなく、エップスに真実を伝えようとして妨害されたケイティのように、所謂監視状態にはあるようだ。

●魂の回収屋
魂の回収屋は船一杯分(何人分かは不明)の魂を集めてサタンに送るのが仕事だ。船が浮いている間は、“悪の刻印”がない魂も船に留めておける。船が沈没すると、支配下にない魂には逃げられる。今回、アントニア・グラーザ号にデカい穴が開いてしまったため、マーフィーたちを誘い込み、船が沈む前に修復させようとしたのである。

●フェリマンの能力

フェリマンは、魂の拘束をしたり幻覚を見せたりはできても、物理的に船を修復する能力はないらしい。アントニア・グラーザ号の大量虐殺も、基本は人間たちの手で実行されており、念で複数の人間を殺すみたいな特殊能力はない。なんなら、マンツーマンでしか対処できない可能性がある。ただ、船の爆発レベルでも無傷なところを見ると、フェリマンは単なる肉体的ダメージだけでは殺せない存在と思われる。これからもサタンのパシリとして生き続けるのだろう。

●生前のケイティ
先にニューヨークへ行った両親のところに向かうため、一人でアントニア・グラーザ号に乗船。甲板でのワイヤー大虐殺はなんとか逃れたものの、 フェリマンの手下たちから暴行を受け、最終的には船室内で首を吊られていた。死亡シーンは画面上で存在しないものの、状況的には他殺と見られる。仮にケイティだけが自殺となるとテーマとのズレも生じる。絶対に自殺ではないと言い切れないものの、他殺の可能性の方が高いだろう。

●幽霊少女になってから
本作ではエップスとのみ交流していた。彼女の意思でコンタクトしていたのか、エップスに霊感があったのかは不明。最後は船の爆破により魂が解放されて、他の乗客たちと共に昇天した。

本作の出だしは、この開始5分半のために観て良かったと思わせるくらいの素晴らしさだ。あのワイヤーシーンは映画史に残るレベルの、ホラー映画ベスト導入シークエンスとして語り継ぎたい。じわじわ体がスライドしたり、上半身が自分の下半身に手を伸ばしたりする描写に、なぜか妙なリアリティを感じた。ケイティを庇っていたキャプテンだけ頭がぱっくりいくのも良かった。ケイティの身長を考えると若干矛盾を感じるが、許容範囲とする。

そんなインパクト抜群の出だしから、どんどん勢いが下がって、唐突にサタンオチを持ってきたかと思ったら、メタル調の音楽が流れ悪役が再登場してエンドロール……これぞB級だ!それなりに豪華な映像だったから実際B級かは知らないが、いかにもB級だ!

ガブリエル・バーンがもともと好きなので贔屓目もあると思うが、マーフィーが、サントスの件で落胆~幽霊と一杯~フェリマンの秘密を握る~証拠品とともに溺死、のシークエンスなんかは、程よい絶望感と緊迫感があってよかった。

映画自体の雰囲気も嫌いではない。優美で絢爛な当時の豪華客船と、不気味な鉄塊となった現在の船の対比も鮮やかで、お化け屋敷感が引き立っていたし、その後のチラリズムする幽霊少女、血で満たされたプール、船内に残された死体……という展開もぞくぞくして好きだった。設定やオチがもう少し丁寧だったら、大傑作になった気がしてならない。

基本情報

【公開年】2002年
【監督】スティーブ・ベック
【キャスト】ジュリアナ・マルグリーズ、ガブリエル・バーン、ロン・エルダード、イザイア・ワシントン、アレックス・ディミトリアデス、カール・アーバン、デズモンド・ハリントン、エミリー・ブラウニング、フランチェスカ・レットンディーニ
【登場人物】エップス(サルベージ船クルー兼出資者)、マーフィー(船長)、ドッジ(クルー)、グリーア(一等航海士)、サントス(操舵士兼機関士)、マンダー(クルー)、ジャック・フェリマン(パイロット)、ケイティ(少女)、フランチェスカ(歌手)
ポストクレジットなし

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