【考察】映画『エイリアン4』|母と子、人間とアンドロイド、両者が反転するシリーズ第四弾

前作で終止符が打たれたはずのリプリーとエイリアンとの戦いは、長い時を経て、違う形で再開される。センチメンタルさと独特のコメディタッチが入り混じる“後日譚”を、新キャラと新エイリアンにフォーカスしながら振り返っていく。

●リプリー8号の誕生
培養槽に入った女性が、リプリーの血液から作られたクローンの8体目であることや、体内のエイリアンまでクローン生成されたことが、序盤に怒涛の勢いで明かされる。しかし今回の黒幕はウェイランド・ユタニ社ではなく、USM(連合軍)である。理由は明言されていないが、前作から200年の時が経ち、さすがのWY社も潰れていたらしい。そして民間貨物輸送船ベティ号が、研究施設に“荷物”として人間を運び入れることで、物語は大きく動き出す。

●逃走劇スタート
コールが嗅ぎまわっていることがバレて、ベティ号メンバーと軍との対立が表面化する傍ら、12体のエイリアンが解き放たれた。次々死人が出る中、オリガ号から脱出すべく、リプリー8号たちはベティ号を目指す。エイリアンの罠やレン博士の裏切りもあり、ヒラードとクリスティーは命を落としたが、一行はなんとかベティ号に到達。なお、リプリー8号たちが直接対峙するエイリアンは3体だけである。エイリアン2のような、撃っても撃ってもエイリアンが湧いてきて弾も足りない!的な展開はなかった。

●エイリアンとの決別……?
ベティ号の中では、パーヴィスfeat.チェストバスターがレン博士を巻き込み死亡、いつの間にか乗り込んでいたニューボーンがディステファノを殺害、その後、リプリー8号の機転でニューボーンも死亡した。結局生きて地球に降り立ったのはリプリー8号、コール、ジョナー、ブリースの4名である。オリガ号も地球に衝突して消滅したので、これでエイリアンが地球に到達することはなかっ……たことはなく、しっかりリプリー8号が生き残ったため、続編が作られてもおかしくない結末となった。

●リプリー8号
3作目で死亡したオリジナルリプリーの冷凍血液から生成されたクローン。彼女の前に1~7号が生成されていたが、8号だけが成人女性の形状・機能を持ち、体内エイリアン摘出後も生存していた。体内エイリアンの存在に加えて、リプリー8号自身も、高い身体的能力や酸性血液といったエイリアンの特性を持った状態となっている。つまり、オリジナルリプリーは前作の”寄生”によって、DNAレベルで影響を受けていたようだ。

●研究施設メンバー

◆ペレズ将軍(死亡):オリガ号船長であり、エイリアンの軍事利用を企んでいる側。嫌な悪代官みたいな登場になっていたが、軍人としては問題なく機能していた模様。自分の脳みそを手に取って見るのは、グロさよりコミカルさが勝つシーンになった。
◆レン(死亡):博士。本作で最も非人道的。宿主を”食わせる“際、他の研究員たちは心を痛める素振りも見せる中、一人満足そうにしていた。パーヴィスからボコされ、チェストバスターにヘッドをバスターされ、最後はクルーたちからの弾丸を浴びて派手に死んでいった。
◆ゲティマン(死亡):研究員。リプリー8号への接し方などは“普通の人”に見えたが、エイリアン限界オタクなので、ガラス越しにエイリアンとのキスを試みたり、クイーンを前に変なポエムを語ったりしてしまう。エイリアンの繭に組み込まれ、最後はニューボーンの一噛みを食らい、きっと満足いく最期だっただろう。
◆ディステファノ(死亡):軍人。終盤、軍隊サイドを裏切り、ベティ号メンバーと行動を共にする。そこそこ役に立っており生き残り組になるかと思われたが、ニューボーンに頭を潰されてあっけなく死亡した。

●ベティ号メンバー

◆エルジン(死亡):船長。ペレズとのやり取りでは、相手を揺さぶり、切れ者系を演出。しかし『一目散に逃げるべき場面で横道に行く』という、ホラー映画のダメムーブをかまして、無事床下から現れたエイリアンの餌食となる。
◆ヒラード(死亡/直接描写なし):操縦士兼エルジンの彼女。彼女の性格を掘り下げるようなエピソードもほぼないまま、水中エイリアンによって連れ去られフェードアウトとなった。
◆クリスティー(死亡/直接描写なし):クールで頼れる副官。銃のプロフェッショナルで、跳弾リコシェの魅せプを披露。梯子を前に迷うことなくブリースを背負うと言ったり、漢気の塊だった。しかし、あの飛び降りがベストな選択だったかは疑問である。既にエイリアンも死んでおり、酸性血液の侵襲も収まっていたように見えたからだ。とはいえ、ベルトを外す動きは遅く、あの時点でかなり弱っていたか、酸性血液の副次的な影響を受けていた可能性はあるだろう。
◆ジョナー(生存):性格はさておき、戦闘力は確かな保安員。梯子で魅せた、膝をかけ宙吊り状態でエイリアンを撃つ姿には痺れた人も多いはず。1~7号を燃やすリプリー8号の行動に『燃料の無駄遣い』とコメントするなど若干思いやりに欠けるところはあるが、簡単には仲間を見捨てない熱い男である。
◆ブリース(生存):下半身不随の技術者。絶対にやられ要員だろうと見せかけて、仲間(主にクリスティー)の手を借りながらも最後まで生き残った。一応、ベティ号の操縦担当となったので、役目は果たせたのか。
◆コール(生存):アンドロイドが作ったアンドロイドで、作中ではロボット二世(英語ではAutonオートン)と呼ばれている。人間よりも『思いやり』を持った行動を取ったり、クローン計画を阻止するために自己犠牲も厭わない姿勢を見せたりと、過去作のリプリーに近い役回りを担う異色のアンドロイドとなっていた。

●パーヴィス(死亡)
貨物室で発見された一般人。『ニッケル鉱へ行く冷凍睡眠』と思っていたのに、起きてびっくり、エイリアンに寄生されていたという真の犠牲者。ベティ号に乗り込んだレンを怒りに任せてタコ殴りにしてから、がっちり頭をホールドして、胸から飛び出たチェストバスターで殺害、同時に自身も死亡。ベティ号到着時すぐさま冷凍保存されていたとして、間に合っていたかは微妙なタイミングだ。

●ニューウォーリアー
リプリー8号から摘出されたクイーンの卵から生まれ、人間に寄生し成長した個体。基本的なデザインはビックチャップやウォーリアーと似ているが、仲良く相談して脱走する、冷却ガスのスイッチを押し噴射する、水中を滑らかに泳ぐ、動線を把握して罠を仕掛けるなど、知能も運動能力も過去のエイリアンよりかなり高いように見える。12体すべての動向は把握できないが、ペレズの手りゅう弾、リプリーとジョナーの銃で死亡した以外の個体は、オリガ号の爆発で死亡したと見られる。

●クイーン
リプリー8号から摘出された個体が成長したもの。リプリーの遺伝子情報の影響で子宮を持ったとされているが、作中ではいつ、どうやって獲得したかは明言されていない。多産型から少産型へのシフトは非効率にも見えるが、宇宙船内という閉じた環境で、【1体の強い子どもを生んで生存率を上げる選択】をしたという考察はできそうだ。リプリーを介して無理やり誕生させられ、進化を遂げたと思ったら、命懸けで生んだ子どもにワンパンで殺されるのだから、なかなか可哀想な個体である。

●ニューボーン
クイーンから初めて胎生した個体。外観はかなり人間の特徴が強く、つぶらな瞳には感情すら宿っているように見える。何故かクイーンを敵とみなしてすぐに殴り殺し、リプリーを慕っていた。リプリーの方が自分に近い種だと判断したのだろうか。窓の穴から宇宙に絞り出されるラストは、まるで助けを求めるような表情と悲鳴も相まって、やたらと悲哀があった。

人間としてのリプリーは既にエイリアン3で“解放”されていることもあり、本作は【リプリーという存在】自体への決着を描いたともとれる。だからこそ、エイリアンの性質を持つ8号が生き残ってしまったのは、人間リプリーの遺志を思うと複雑だ。一方、エイリアン駆逐してやる派として登場したアンドロイドのコールが誰よりも人間らしく振舞っていたことは、リプリー不在の穴を埋める以上の深みを感じた。

今回ウェイランド・ユタニ社からUSMへ黒幕組織は変わったものの、人間はその欲深さで痛い目を見るといった寓話的側面は変わらなかった。倫理観度外視の実験を繰り返す傲慢さ自体、人間の愚かさの象徴だろう。

正直エイリアン3の完結感が凄まじく、絶対に蛇足にしかならないと思っていたので、いい意味で裏切られた。好き系のキャラクター(ジョナーやクリスティー)とイケてるニューウォーリアーズとのバトルなど、アクションとしてもとても楽しめた。シリーズの正統続編というよりもAVP的なポジションの作品として、定期的に見たい一作である。

基本情報

【公開年】1998年
【監督】ジャン=ピエール・ジュネ
【キャスト】シガニー・ウィーバー、ロン・パールマン、ドミニク・ピノン、マイケル・ウィンコット、ウィノナ・ライダー、ゲイリー・ドゥーダン、キム・フラワーズ、ダン・ヘダヤ、J・E・フリーマン、ブラッド・ドゥーリフ
【登場人物】リプリー8号、ジョナー(ベティ号保安員)、ブリース(ベティ号機関長)、エルジン(ベティ号船長)、コール(ベティ号技師)、クリスティー(ベティ号副長)、ヒラード(ベティ号操縦士)、ペレズ将軍(オリガ船長)、レン(博士)、ゲディマン(博士)
ポストクレジットなし

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