【考察】映画『プロメテウス』|完全生物エイリアンの起源はまさかの黒い液体?

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:あり、身体損壊:あり、子ども被害:なし、動物被害:なし

ここからネタバレがあります!未視聴の方はご注意ください!

創造主様にのこのこ会いに行って長生きしたいって言ったら逆に殺された件。ラノベタイトル風にまとめると、本作はそういう話である。岩壁画のヒントを元に、2年半もかけて未知の惑星を訪れ、ウェイランドは創造主=エンジニアと対面する。しかし、エンジニアは激オコするわ、黒い液体から謎の生命体も生まれるわで、もー大変!という展開だ。

●エンジニア
人類の創造主とされる白い巨人。独自の言語がある。人類よりも遥かに進んだ技術を持っているようだが、遺跡(実際には船)の内部は古代的だった。

●ハンマーピード
ワームが黒い液体に感染して生まれた、コブラのような生き物。元のワームがLV223の原生生物なのかは不明だが、船内にはもともといた模様。血液は酸性。巻きついて締め上げる威力は強く腕が簡単に折れるほど。

●トリロバイト
黒い液体に感染したホロウェイと性交渉したショウが妊娠した、イカ的な生き物。摘出後、医療ポッドの中で一度静止したが死んでいたわけではなく、その後めちゃくちゃ成長する。

●ディーコン
トリロバイトに襲われたエンジニアの内部から出てきた”エイリアン”に近い形状の生物で、二重顎構造もある。しかし、ラストでサービスショット的に登場するに留まり、本作において一切の活躍がなかった。

個人的に疑問に思った点を列挙するが、多少考察できる部分と全く出来ない部分がある。

●ヴィッカーズってアンドロイドだったの?
アンドロイド説の根拠は、冷淡な様子、ピーターとの年齢差など。人間説の根拠は、個別に冷凍睡眠をしていた、汗をかく、危機に激しく動揺する、など。根拠の数と説得力だけで考えると人間の可能性が高いだろう。

●大型輸送車、どこ行った?
最初の探索から帰る際、二人乗りのバギーしか残っておらず『置いていかれた!』と焦る描写がある。しかし、先に戻ったはずのミルバーンとファイフィールドは、実際にはエンジニア船に残っていた。では、誰が大型輸送車に乗って行ったのか。遠隔操作できるとしてプロメテウスが回収する意味もない。単なる制作上のミスの可能性が高い。

●エンジニアの目的は?
2,000年前、人類は『生かしておくべきではない』として抹消にし地球へ向かうも、黒い液体の感染によりエンジニアはほぼ全滅。唯一残った(作中登場)のエンジニアが、当初の目的を果たすべく地球を目指した、という流れだが、そもそも【人類抹消を判断】した理由は分からない。人間の傲慢さや暴力性を危険視した可能性が高い。その理由をキリストの処刑と結びつける考察もあるが、監督は明言していない。

●あの黒い液体は何?
エンジニアが作ったものかは不明。触れた有機物のDNAを一旦破壊し、再構成して、ホストの情報を素材にした新生命体を生み出す。冒頭のエンジニアは、創造主として自ら黒い液体を飲み、DNA崩壊→あの惑星に新たな生命を広めたようだ。

●デヴィッドはなぜ黒い液体を飲ませた?
デヴィッドの判断で“実験”したと思われる。ホロウェイが対象となった理由は単純に接触しやすい相手であり、飲ませやすい状況が整っていたからだと思われるが、健康な成人男性だったことも一因だろう。ホロウェイに「どこまで覚悟しているか」を確認してから液体を混入したのは、彼なりに倫理的障壁へ対処したものと思われる。

●デヴィッドがエンジニアに言ったセリフは?
ネットでは、本作の言語コンサルタントが『This man is here because he does not want to die. He believes you can give him more life(意訳:この男は死にたくないのでここに来た。彼は、あなたなら延命が可能だと信じている).』だったと明かした、とある。公式資料ではないが、内容的には納得がいくところだ。

●エンジニア、ブチ切れの理由は?
エンジニアが激怒した理由は『人間に腹を立てたから』に違いないが、デヴィッドの伝えた内容に加えて、デヴィッドという存在・・にキレたようにも見える。【創造物にんげんが傲慢にも、自分に似せてデヴィッドを造り、創造主の真似事をしたこと】に対して、激オコしたのではないだろうか。

●岩壁画の意味は?
もともとLV223は人類の様子を見守る観測所的な役割で使われていた→岩壁画を描かせた時点では『文明が発展したら、自力でここにおいで、僕たちがいるよ』といったメッセージだった、と考えられるが、推測の域を出ない。

1979年の初代エイリアンが大好きな理由の一つに、エイリアンの圧倒的完全生物感みたいなものがある。それは神秘的ですらある。そのため、前日譚という位置付けでエイリアンの起源(ぽいもの)が明かされること自体に抵抗があり、期待値はマイナススタートだった。いざ視聴してみると、なかなかの雑な展開で、一つのSFアドベンチャー物として見てもツッコミどころだらけ。謎や曖昧な点も多すぎて、考察を議論しようにも、仮定の仮定で話す状況になり不毛なほどだ。

そして本作で提示された人類の起源は、【エンジニアの実験結果の一つ】ということだが、要するに【人類もエイリアンも元を辿ればみな黒い液体】というのがシリーズのオチだったとも言える。人類の創造主は存在するのか、創造物が創造主の想定を超えた時何が起きるのか……そんなテーマで物語が広がれば広がるほど、エイリアンという存在が浅く薄くなっていく気がした。

とは言え、ダメなところばかりではない。デヴィッドとホロウェイが見せるアンドロイドと人間の歪な関係性は興味深かったし、延命のためにのこのこやって来たウェイランドをエンジニアが即始末したのはスカッとポイントが高かったし、ショウのイカタコ摘出シーンは緊迫感もあってよかった。細かい点で好きな部分もありつつ、全体としては全くハマらなかった、というのが結論である。

シリーズのまとめ記事はこちらから☟

基本情報

【公開年】2012年
【監督】リドリー・スコット
【キャスト】ノオミ・ラパス、ローガン・マーシャル=グリーン、マイケル・ファスベンダー、シャーリーズ・セロン、イドリス・エルバ、ショーン・ハリス、レイフ・スポール、エミュ・エリオット、ベネディクト・ウォン、ケイト・ディッキー
【登場人物】エリザベス・ショウ(考古学者)、チャーリー・ホロウェイ(考古学者)、デヴィッド(アンドロイド)、メレディス・ヴィッカーズ(ウェイランド社役員)、ヤネック(プロメテウス船長)、ファイフィールド(学者)、ミルバーン(生物学者)、チャンス(副操縦士)、ラヴェル(副操縦士)、フォード(ウェイランド社社員)
ポストクレジットなし

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