
ステンドグラスって、もはや割れる物の代名詞
【苦手トリガーチェック】
虫:あり、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:あり、動物被害:なし
事実関係・疑問点の整理
ダミアン誕生までの道のり
本作は、ホラー映画の名作『オーメン』の前日譚で、悪魔の子ダミアンが誕生するまでの経緯が描かれている。
●教会の陰謀
ブレナン神父は、【若者たちの宗教離れ】に危機感を覚えた教会の急進派が黒幕と語る。急進派の思考はこんな感じだ。
①若者たちが世俗的になってきたなぁ
↓
②信仰がないと教会の権力が失われるなぁ
↓
③地獄の物語くらいじゃ足りないんだよなぁ
↓
④新たに恐怖の対象を作って、怖がらせるのがいいかなぁ
↓
⑤そうだ、『反キリスト』を誕生させよう!
本末転倒も甚だしい上に、まどろっこしい計画である。既得権益への執着という醜さと、反キリスト誕生プランの杜撰さを見れば、ポンコツ教会急進派にもう救いがないことは明らかだ。
●反キリスト誕生レシピ
反キリストが生まれるためには、二段階の工程が必要だった。
◆第一段階:ジャッカルとの【儀式】で人間の女性を妊娠させる
最低でも過去に14人の赤ん坊が誕生。しかし女児しか生まれず、しかも殆どが形態異常ですぐ死亡。本作開始時点で生存しているとされるのは、マーガレットとカルリータのみ。
◆第二段階:第一段階の女児を母として、【儀式】により妊娠させる
作中、ルームメイトのルスがマーガレットを連れ出す➡偶然を装ったパオロの策略で儀式の場へ連れていかれる➡儀式を通じて妊娠、という流れで実行。なお、パオロは陰謀に加担していたものの、細部までは知らなかったようで、後日マーガレットと再会した時点で後悔している様子が描かれる。そして真っ二つになる。
●6月6日の出産
真実を知った頃には対処出来る状態ではなく、マーガレットは妊娠したまま6月6日を迎えた。そして枢機卿らに拘束され、帝王切開の形で双子を出産。直後、マーガレットは枢機卿をメスで刺した。その後、男児を確保したシルヴァの命令で、双子の片割れの女児とマーガレットを残した状態で、儀式部屋に火が放たれた。
●双子の行方
男児はすぐ病院へ連れていかれ、駐ローマ大使の子どもと取り換えられた。女児はカルリータによって、マーガレットとともに救出された。終盤、マーガレット、カルリータと共に3人仲良く雪山で暮らす様子が描かれており、結局儀式由来の人間=悪魔の子たちが誰も死なない結末となった。
マーガレットとカルリータ
●マーガレット:スキアーナ5
マーガレットは、【儀式】によって生まれた子ども=スキアーナで、作中、額に666のアザを発見する。幼い頃から“ヴィジョン“を見ていたようだが、ローレンスに『妄想だ』と言いくるめられていた。ローレンスはマーガレットを出生の秘密から遠ざけつつも監視を続け、誓願式を口実に、今回ローマに呼び出したのである。
●カルリータ:スキアーナ14
悪魔の子の証として、口内に666のアザがある。孤児院では厳格な管理下に置かれており、時には拘束されていた。カルリータもヴィジョンを見ており、見たものを描いたイラストが施設内に張り出されていた。シスター・アンジェリカはカルリータの監視役だったのか、しばしば絡んでいた上、焼身投身自殺という本作で最初の見せ場を作った。なお、あの自殺時に放った『すべてあなたのためよ』というオマージュセリフについては、カルリータではなくマーガレット宛だと思われる。ミスリードでカルリータ=母親候補と見せていたが、中枢メンバーであればマーガレットが母の器と知っていたはずだからだ。しかし、いずれにしろ自殺の動機・目的が不明である。なんか不吉っぽい、というだけである。
オリジナルとの比較
本作と『オーメン』で異なる点は下記の通り。『オーメン』未視聴の場合は要注意!
| ポイント | 本作 | オーメン | 矛盾・違い |
|---|---|---|---|
| 計画の背景 | 教会の権威を守るため | スピレット神父らが悪魔崇拝者だったため | 結果として教会を裏切っているのは同じだが、反キリスト計画の本質が全く違う |
| ブレナン神父 | 計画序盤から『破門』されており、主人公サイドの人間として描かれる | 『反キリストの誕生にも立ち会った』と語り、贖罪の意味でロバートに真実を伝えに来る | 発言や行動原理が異なり、違う人物に見えるレベル |
| ダミアンの母 | 儀式によって作られた女性 | 母はジャッカルとされ、『マリア・スキアーナ』と書かれた墓には山犬の骨があった | 墓の骨は本作で燃えていたジャッカルの骨、ブレナンは象徴的に母親がジャッカルと話した、とこじつけないと矛盾になる |
| ジャッカルの扱い | 悪魔の化身、悪魔の力を宿したジャッカル、普通の山犬だが映像上悪魔的に見えている、などの可能性があるが詳細不明 | 本作同様詳細は不明だが、骨だけを見ると生物学上は普通の山犬に見える | どちらもジャッカルの描写が少ないため、矛盾があるとまでは言えない |
| 悪魔の子 | ダミアンに双子の妹がいて、本編終了時点で生存 | ダミアンが唯一の反キリスト、悪魔の子として描かれる | “反キリスト”は男性のみ、という前提だとすると矛盾はない |
感想
キリスト教x悪魔のいわゆるオカルト物ではあるが、かなり生々しいタイプのホラーだと感じた。『オーメン』のオマージュも散りばめられているが、だいぶ毛色は異なる。矛盾もあるし、オリジナルの雰囲気を期待するとがっかりするかも知れないが、単体で見るとかなり好きな部類である。だからこそ、爆笑シーンになってしまったあのモザイク出産場面はとても勿体なかった。
【儀式】についてはあえて全貌を見せず、主にマーガレットのフラッシュバックの形で描写されるが、十分に気色悪さが描かれていた。女性が道具のように使われる構造、そして衆人環視の中での異種交配儀式は、どこを切り取っても非人道的だ(厳密には異種交配ではないが、やってることは同じ!)。それを、曲がりなりにも神父や修道女を名乗っている人間が行っているからこそ、より悪魔的に感じるのだろう。『オーメン』とはまた違う嫌悪感があるのは、その辺りである。
ところで、マーガレットを演じたネル・タイガー・フリーは、本作で初めて見たが、圧巻の演技だった。特に、事故後に体が震え、まるで獣のようになっていく様なんかは、もはや何かが憑依していた。あと、本作の劇伴はおどろおどろしいチャンティングとかコーラスが多く、夜中に聴くとゾワゾワ出来てオススメである。
基本情報
【公開年】2024年
【監督】アルカシャ・スティーブンソン
【キャスト】ネル・タイガー・フリー、ラルフ・アイネソン、ビル・ナイ、タウフィーク・バルホーム、ソニア・ブラガ、イシュタル・カリー・ウィルソン、マリア・カバレロ、ニコール・ソラス
【登場人物】マーガレット、ブレナン(神父)、ローレンス(枢機卿)、ガブリエル(神父)、シルヴァ(修道院長)、アンジェリカ(修道女)、ルス(マーガレットのルームメイト)、カルリータ(孤児)
【ポストクレジット】なし





コメント