【考察】映画『フレディVSジェイソン』|悪夢男と不死身男の軌跡を辿る

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:なし、動物被害:なし

●大前提
今回の主役はフレディとジェイソンという二大不死身系殺人鬼である。ざっと紹介すると下記の通り。

フレディ・クルーガー:エルム街でかつて子どもたちを殺しまくった殺人鬼。被害者の親たちによって燃やされたが、悪夢の殺人鬼として復活。夢の中で彼に殺された者は、現実でも殺されてしまう。恐怖をパワーに変え、なんやかんやで復活しまくるフレディを確実に“倒す”方法は、彼の存在を完全に忘れることのみである。

ジェイソン・ボーヒーズ:11歳の時、クリスタルレイクでキャンプに参加していたが、いじめられ、顔に袋を被せた状態で湖に落とされた。キャンプ指導員が監視出来ておらずそのまま消息不明に。結局一命は取り止めていたが、いろいろあって殺人鬼になる。シリーズを経てどんどん不死身化が進み、現状では倒せる気がしない。

●ジェイソンのターン
ジェイソンは、リア充を殺す楽しい夢を見ていたが、フレディが化けた偽ママに無理やり起こされる。そして早速連続殺人を開始する。トレイ、ブレイク(と、その父)を地道に殺すと、トウモロコシ畑のパーティーへ乱入して、大暴れを始めたのだ。

●フレディのターン
ジェイソンの存在を感じつつも、ローリたちは先にフレディへの対抗策を打つ。ヒプノシルという非承認の【夢を抑制する作用】がある薬を盗むため、病院へ向かった。しかしフレディはフリーバーグを乗っ取り、ヒプノシルを総廃棄。そこでローリたちは【フレディを現実へ引っ張り出した上でジェイソンに殺してもらう】という、毒を以て毒を制す作戦に変更することに。

●大団円?
その後も多くの犠牲が出たが、一応作戦は成功した。ジェイソンは再びクリスタルレイクに沈み、ローリがフレディの頭を切り落としたのだ。しかし、不死身の彼らに人間が“勝つ”など到底無理な話。フレディの頭を持ったジェイソンが湖から(やたらカッコよく)ザバーッと出てきて、フレディがウィンクして終幕となった。

●頭の固い警官たち
地元警察はトレイ死亡の時点からフレディの関与を疑い、新人スタッブズがホッケーマスク男の捜査の必要性を訴えても頑なに無視して、“フレディの名前を広めないこと”ばかりに執着した。その背景には、4年前のフレディによる、最低でも2つの殺人事件があった。

マークの兄:当時の記事は黒塗りで事実関係は分からなかったが、マークの兄はフレディの悪夢のせいで死んだという。
ローリの母:ローリは交通事故死と思っていたらしいが、実際はローリの母の死にもフレディが関与していた。さすがにウィルの目撃証言通り「自宅のベッドで刺殺されていた」ならローリが知らないのはおかしいだろう。ウィルが夢の中に乱入しただけで「母は夢の中でフレディに殺された」とする方が、筋が通る。

●忘れていたら平和
細かい経緯は不明だが、事件以降、フレディの記憶を持つ者たちを抑え込むことでエルム街は平和を保っていたらしい。そうは言っても警官やキャンベル医師など、フレディを完全に覚えている人間もいた。恐らく、そのせいでフレディは本作冒頭時点でも消滅していなかったのだろう。とはいえ、数人の大人が覚えていたくらいでは、ジェイソンの夢に化けて出るくらいの力しか出なかった模様。だからこそ、警察は若者たちにフレディの名を広めないことに躍起になっていたのだ。

ジェイソン、フレディ、人間による三つ巴の戦いを詳細に確認していく。

●ジェイソンVS人間

◆トレイ:ジェイソンにめっちゃ刺されてベッドごと半分に折られて死亡
◆ブレイク父:ジェイソンに頭を切り落とされて死亡
◆ブレイク:ジェイソンに刺されて死亡
◆ギヴ:ジェイソンに、覆いかぶさっていた男ごと刺されて死亡
◆パーリーピーポー数名:ジェイソンに首を一回転、松明を刺すなどされて死亡
◆警備員:ジェイソンにドアで潰されて死亡
◆スタッブズ:ジェイソンに感電させられて死亡
◆ウィル:ジェイソンに鉈で腹を切られる
◆キーア:ジェイソンに後ろから鉈で叩き切られ放り投げられて死亡
◆リンダーマン:発砲してジェイソンを気絶させる、ジェイソンに投げられ突起で負傷➡死亡
◆ローリ:プロパンガス大爆発でジェイソンを吹っ飛ばす

本作のスラッシャー担当とあって、かなりの人数を殺害している。圧勝である。反撃としてリンダーマンからの発砲は食らったものの気絶止まりで、ジェイソンの不死身さが強調される展開だった。

●フレディVS人間

◆ブレイク:フレディに夢で殺されそうになるも生還
◆ギヴ:フレディに夢で殺される前に現実でジェイソンに殺される
◆マーク:フレディに”Freddy is back”の伝言を刻まれつつ悪夢で死亡
◆フリーバーグ:フレディに意識を乗っ取られてヒプノシル廃棄
◆キーア:フレディをめっちゃ煽る(クリスマスセーターにバターナイフとかいう)
◆ローリ:フレディの頬をちぎって現実に持ってくる、フレディの本体を現実に持ってくる、プロパンガス大爆発でフレディを吹っ飛ばす、鉈でフレディの首を切り落とす

作中、フレディの悪夢によって死亡したのはマークのみ。特にVSローリでは、負けっぱなしである。そもそも力が弱まっている状態でのスタートだったので仕方ないところ。

●フレディVSジェイソン

◆病院でのバトル:フレディinフリーバーグが鎮静剤(?)満タンの注射器をジェイソンにぶっ刺すも、逆に体を真っ二つに切られる
◆夢の中のバトル:フレディは切られても再生出来る上、簡単にジェイソンをバンバン吹っ飛ばせるし、水の弱点もバレてフレディ優勢
◆クリスタルレイクのバトル:フィジカルでは圧倒的にジェイソンが強く、フレディはボンベロケットやトロッコなどのピタゴラ攻撃を繰り出すも、蓄積ダメージは少ない
◆最終決戦:桟橋でフレディが追い詰められるも、ジェイソンの指を切り落とし一時的に形勢逆転する。しかし、一瞬の隙を突かれてフレディは腹に腕を突っ込まれ、右腕をもがれる。二人同時に吹っ飛ばされ湖に落ちたあと、ローリを殺そうとしたフレディを、ジェイソンが爪でぶっ刺して妨害。

ジェイソンはフレディの夢から自力覚醒しており、現実世界の肉弾戦では圧倒していた。しかし、ローリたちの介入がなければ、フレディに殺されていた。ラストのフレディのウィンクも、疑問が残るところだ。フレディもタダでは死なないよという意味合いかも知れないが、ジェイソンが頭を持ってザバーッしていること自体が夢の中、という可能性もゼロではないのだ。そのため、両者のバトルについては一概にどっちが勝った!と言えない結末である。

ティーンホラーであるあるの【若者たちの謎行動】はいくつかあったが(悪夢で死にかけの親友を窓から眺めるだけのウィル、突然ヤクを始めるフリーバーグ、など)、そもそもストーリー性をそこまで求めていなかったのであまり気にならなかった。

ジェイソンがやりたい放題暴れていく様はスラッシャー的に面白かったし、時折挟まれるフレディ流の恐怖演出も、懐かしささえあって良かった。フリーバーグの意識乗っ取りシーンも、良いアクセントになっていたと思う。

フレディもジェイソンも少々人間味が強く出ており違和感を覚えた人もいるかも知れないが、個人的にはシリアスに寄り過ぎなくて受け入れ易かった。本作をもってロバート・イングランドがフレディ役を引退したこともあり、もうFVJの続編は諦めているのだが、「さすがにこれじゃジェイソンも無理~」みたいなクロスオーバーバトルを是非見たいものだ。あの不死身っぷりは、エイリアンでも勝てない気がする。

基本情報

【公開年】2003年
【監督】ロニー・ユー
【キャスト】ロバート・イングランド、ケン・カージンガー、モニカ・キーナ、ジェイソン・リッター、ケリー・ローランド、キャサリン・イザベル、クリス・マークエット、ブレンダン・フレッチャー
【登場人物】フレディ・クルーガー(悪夢の殺人鬼)、ジェイソン・ボーヒーズ(ホッケーマスクの殺人鬼)、ローリ・キャンベル(高校生)、ウィル・ローリンズ(高校生)、キーア(高校生/ローリの親友)、ギブ(高校生/ローリの親友)、チャーリー・リンダーマン(高校生)、マーク(高校生)
ポストクレジットなし

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