
あの環境でもテレビって映るんだ
【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:あり、動物被害:あり
事実関係・疑問点の整理:丘に潜む食人ミュータントと家族の戦い
砂漠の追いはぎはミュータントたち
●本作の“犯人“
ニューメキシコの砂漠で追い剥ぎを繰り返していたのは、核実験の放射能汚染によって生まれ、寂れた集落で暮らし続けるミュータントの食人集団だった。銀婚式の旅行としてトレーラーで砂漠を横断していたボブ・カーター一家が彼らの罠にハマり襲われる、というのが本作の事件となる。
●ヘブンズ・ガス
ボブたちが道中立ち寄ったガソリンスタンド『ヘブンズ・ガス』の店主は、ミュータントたちの父親でもあり、彼らの犯罪に加担していた。冒頭では「(犯罪から)降りる」と宣言していたものの、リンに盗品を見られたと察し、一転、彼らを罠にハメる。しかしその後、自責の念からかボブの目の前で頭を撃ち抜き自殺した。
●ミュータントたち
作中で登場したミュータントは下記の通り。
◆ゴーグル(帽子をかぶった男):監視役。ビーストに喉を噛み千切られ死亡。
◆シスト(頸椎装具をつけた男):帰宅時ダグに斧で殺され、銃を奪われる。
◆ビッグ・ママ(テレビを見ていた女):侵入したダグに気付きフライパンで攻撃。
◆ビッグ・ブレイン(頭のデカい男):指示役。(おそらく)ビーストに噛み殺される。
◆パパ・ジュピター(ロン毛の男):死亡後のエセルを食べる。ボビーたちの罠にかかり爆死。
◆プルート(巨漢):トレーラー襲撃者の一人。集落へ来たダグにドライバーで足を刺され、星条旗で喉を刺され、斧で頭を割られて死亡。
◆リザード(口の割けた男):トレーラー襲撃者の一人。丘での戦いでダグを射殺しようとした瞬間ルビーに飛び掛かられ、そのまま二人で落下し死亡。
◆ルビー(少女):気絶したボビーがゴーグルに見つからないよう寄り添う。リザードからキャサリンを守り抜きダグに返した。ラストはリザードに飛び掛かり、共に崖下へ転落して死亡。
●ルビーという、丘の良心
ルビーの良識はどこで育まれたのか。一般的な情操教育を受けられる環境には見えなかったが、たとえばテレビや新聞などで外の世界に触れて、命の尊さや人を思いやる心を学んだのかも知れない。子豚でリザードを騙す流れなどからは聡明さも伺えた。
カーターファミリーのメンバーを振り返る
どこにでもいそうな”普通“の家族。そんなカーターファミリーの面々を振り返っていく。
●ビューティー:犬(死亡)
脱走癖があり、今回もトレーラーから走り去ったのちに(おそらく)ゴーグルに殺された。お腹をぱっくり割かれ、その後食われている描写もあり、犬好きにはキツい展開となった。
●ボブ:父(死亡)
絵にかいたような『おやじ』キャラ。事故後も冷静さを保っていたが、GSでは元警官だからこその油断か、乗り込んだ車の後部座席に人がいることに気付かず襲われる。その後、トレーラー近くの木に括り付けられ、攪乱のための爆発に利用され、生きたまま火あぶりとなり死亡。
●リン:長女(死亡)
全員がボブ(爆発)に気を取られている最中、トレーラーの異変にまず気が付いて駆けつける。キャサリンを守るため自身を差し出し、その後転がっていたドライバーでリザードの足を刺すも、銃で頭を撃たれて死亡。
●エセル:母(死亡)
ボブの死に呆然となり、トレーラーに戻ると、今度は娘たちが凌辱されていた。反撃しようとするも、逆に発砲され腹部を撃たれる。即死ではなかったが、意識朦朧となりダグに看取られる。死亡後、パパ・ジュピターに食われていた。
●ブレンダ:次女(生存)
ボビーがトレーラーを出たタイミングで侵入したプルートとリザードに襲われる。かろうじてボビーとダグの到着が間に合い命は助かる。当初は錯乱していたが、時間経過と共に冷静さを取り戻し、ボビーと共に罠を仕掛けるなどして耐え抜く。最後は、パパ・ジュピターをツルハシで刺し殺した。
●キャサリン:リンの長女(生存)
リザードに気に入られ、集落に連れ去られる。ルビーの助けもあって無事に救出される。
●ボビー:長男(生存)
ビューティーが何者かに殺されたことを目撃するも誰にも報告しないというミスをやらかしたが、それを払拭するかのように、後半は手持ちの道具を駆使して罠を仕掛けるなど奮闘する。
●ダグ:リンの夫(生存)
登場の時点ではイケてないもっさりダメ男の匂いがプンプン。しかしトレーラー襲撃後は別人のように覚醒し、ビーストを連れて単身集落へ乗り込む。一度は気絶し他の死体とともに貯蔵庫に入れられるが、狂気の連打で脱出。ビーストの助けを借りつつ、指を2本失うも、プルートの頭をかち割って勝利。リザードとの戦いではダブルタップをし損ねたが、ルビーの自己犠牲に助けられ、生存ENDを果たした。
●ビースト:犬(生存・MVP)
脱走していたと思いきや、監視役(ゴーグル)の喉をかみ切り、自分でトレーラーに戻る。その後は、ダグを道案内したり、対プルートで苦戦するダグを助けたりする。おそらくビッグ・ブレインも殺している。最後はキャサリン、ダグと共に感動の帰還となった。
核実験とミュータント
作中で明かされる、核実験にまつわる歴史は下記の通りである。
◆1940~60年代、アメリカ政府は300回を超える核実験を繰り返した
◆当時の実験場の一つでもあるニューメキシコの鉱山付近では、軍が住民に対し立ち退きを命じた
◆住民たちはそれを拒否して鉱山に隠れた
◆鉱山ごと爆破されても生き延びた住民たちだったが、放射能汚染の被害を受けた
◆新たに生まれた子どもたちは突然変異体=ミュータントだった
なお【放射能汚染でミュータントが誕生】という部分はフィクションだが、アメリカで核実験が繰り返されたことは事実であり、その放射能汚染による健康被害や先天性異常などは確認されている。
感想
ウェス・クレイヴン監督作『サランドラ(1977年)』のリメイクでプロットはほぼ同じなのだが、核実験の被害者であるミュータントたちが無慈悲な食人殺人一族という設定は、なかなか攻めていると感じた。昔見たホラーで、核実験・放射能漏れ・突然変異という3点セットは多かったが、大抵突然変異した側に同情が寄せられる作りだったからだ。だからこそ、本作でミュータント唯一の『良心』としてのルビーの存在が光っていたし、ルビーの自己犠牲がダグたちにさして響いていないエンディングには切なさもあった。
ところで、前半を見てダグが生き残ると思っていた人はどれほどいただろうか。トレーラー襲撃後の覚醒、からの集落での逆襲、からのキャサリン奪還、そしてビーストを従えてカッコ良く戻ってくるあの様を想像出来た人はいただろうか。彼の覚醒と生存は、もはやどんでん返しレベルである。しかし実際のところ、ダグが集落へ行けたのも生き延びることが出来たのも、わりと、だいぶ、ほぼほぼ、ビーストのお陰である。ボビーも年齢の割にはあの悲惨な絶望的状況にめげず頑張っていた。が、やはりMVPはビーストだ。さすがジャーマンシェパード!さすがイッヌ!
基本情報
【公開年】2006年
【監督】アレクサンドル・アジャ
【キャスト】アーロン・スタンフォード、キャスリーン・クインラン、エミリー・デ・レイヴィン、ダン・バード、ヴィネッサ・ショウ、テッド・レヴィン、ラウラ・オルティス
【登場人物】ダグ(リンの夫)、エセル(母)、ブレンダ(次女)、ボビー(長男)、リン(長女)、ボブ(父)、ルビー(ミュータントの少女)
【ポストクレジット】なし





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