
ジャンル:ホラー
監督:ジャウム・コレット=セラ
キャスト:エリシャ・カスバート、チャド・マイケル・マーレイ、ブライアン・ヴァン・ホルト、パリス・ヒルトン、ジャレッド・パダレッキ、ロバート・リチャード、ジョン・エイブラハムズ
登場人物:カーリー・ジョーンズ(大学生)、ニック・ジョーンズ(カーリーの双子の兄)、ボー・シンクレア(ガソリンスタンド経営者)、ヴィンセント・シンクレア(蝋人形作家)、ペイジ・エドワーズ(カーリーの友人)、ウェイド(カーリーの恋人)、ブレイク(ペイジの恋人)、ドールトン・チャップマン(ニックの友人)
ポストクレジット:なし
ポテッチの好き度:82/100(大大好き)
超ざっくりあらすじ
大学アメフト大会観戦へ向かった大学生のカーリーたちは、移動中に日が暮れ、山でキャンプをして一夜を過ごした。翌朝、ウェイドの車のパーツが壊されていることが発覚し、近くの町アンブローズへ寄ることに。しかし町の目玉らしい【トルーディーの蝋人形の館】はすでに閉館しており、町民の姿もない。不気味さを感じ始めたカーリーたちは、やがて町の恐ろしい秘密を知ることになる。

事実関係・疑問・つっこみ など
地図にない街で
●アンブローズ
今回事件の舞台となったのは、カーナビにもないアンブローズという町。警官曰く「10年前に製糖工場が閉鎖され、地図からも消えた」らしい。働く場所がなくなったことで人口も流失したのだろうか。
●トルーディーの夢
山中の看板には【トルーディーの蝋人形の館】と掲げられていた。その後、ニックがクロスボウを盗んだガンショップには、【トルーディーの蝋人形の町】と書かれた看板があった。また無人となった町において、全ての建物や外灯の電気は、蝋人形館~シンクレア邸を繋ぐ地下トンネルの分電盤でコントロールされていた。そこから推測できるのは、【蝋人形の館】で満足仕切れなかったトルーディーがかつて目指した【蝋人形の町】を、シンクレア兄弟が完成させようとしている、ということだ。
●蝋人形の町
【蝋人形の町】を完成させるべく、シンクレア兄弟は、車で付近を訪れた人間を誘い込み殺しては、蝋人形にして飾っていった。ロードキル・ドライバーが「州間道が出来る前はいい町だった」という話をしており、州を跨いだ移動でよく利用される道に面していたのだろう。そして、今でもブレイクのように“近道”と思い訪れる車もあり、そんな人々をターゲットにしていたと思われる。
2組の双子+α
●カーリーとニック
本作の主役となる男女の双子で、どちらも美形。カーリーはNYの一流雑誌出版社でインターンが決まっており、人当たりの良さや、常識人であることが伺える。一方ニックは、車の窃盗で捕まりアメフトでの特待枠を取り消されており、それ以外にも前科があって、素行不良。しかし、少なくとも車の件は友人ドールトンの罪を被っただけらしい。カーリーはニックについて「中学から荒れだした、自分を悪のイメージに追い込んでいるように見える」と冷静に分析。ニック自身も序盤では「お前(カーリー)は善で、俺は悪」と話していた。それでも事件後のニックは、“二人なら大丈夫”と吹っ切れた様子もあって、今後は多少マシになっていくのか?と思わせるラストだった。
●ボーとヴィンセント
本作の敵役である双子。結合双生児として誕生後に切り離された。ボーの話では、母トルーディーは脳嚢胞を患いその後死亡、父ビクターは自殺、双子は里子に出されたらしい。しかし、トルーディーの遺体をヴィンセントが蝋人形にしたのであれば『里子に出された』というのは時系列的に疑わしいし、ボーの話の信憑性が一気になくなる。第三者から得られる情報もなく、シンクレアファミリーの背景はごそっと欠落している。
●ボー・シンクレア
幼少期に虐待されていた兄、ボー。本人が生来暴力的だったことが伺えるが、それを抑えるために父も暴力を振るっていたため、暴力以外での人との関わり方を知らないように見える。そんな彼が「ママの夢」を叶えるために尽力している姿は少々違和感があった。むしろ、自身の暴力性を正当化して発揮するために、母の夢やヴィンセントを利用していただけに見えた。
●ヴィンセント・シンクレア
大人しい子どもだった弟ヴィンセント。母の蝋人形作家としての腕や、芸術性を受け継いでいた。兄からは”モンスター“と呼ばれ、勝手なことをするなと叱責され、怪我を心配しても振り払われていた。しかし、最後まで兄への愛情を見せ、兄が死んだ際には咆哮していた。兄を殺害したカーリーを追いかける場面では、仮面の下で激怒しているのが伝わってくるほどの、兄想いである。
●第三の兄弟
最後に警官への報告という形で、ロードキル・ドライバーがシンクレア家の3番目の息子だと仄めかされる。犯罪への関わりは明言されないが、個人的には2つの根拠から共犯だったと思っている。
◆根拠①「何年もかいでりゃ慣れるさ」というセリフ➡町への案内役として「犯罪に加担している」ことに対し、最初こそ抵抗があったものの慣れてきた、と暗に訴えているように感じた。
◆根拠②犬の存在➡蝋人形館でウェイドが犬を目撃していることから、飼い主であるロードキル・ドライバーもアンブローズに出入りしていたことが伺える。さすがに、何度も行き来している場所で町民が蝋人形であることを知らない、というのは無理があるのではないか。
一方で、彼が悪意を持ってカーリーたちを乗せたようにも見えない。ひょっとすると、なんらかの事情で【善悪の判別がつかない】なんてことも考えられるが、とにかく全てが謎である。なんなら本名「レスター」も映画では明かされず、脚本にそう書いてあることをfandomで知ったくらいだ。
惨劇のすべて
本作は前半こそ退屈なティーンホラーの様相を呈しているが、後半はインパクト抜群のスラッシャーとなる。生きたまま蝋人形にされる場面が一番特徴的ではあるが、各キャラクターの痛いシーンを振り返ってみたい。(単純な殴り合いは除く)
◆ウェイド(死亡):暗闇の中でアキレス腱を切られる、気絶している間に薬物を注射され麻痺する、眉やヒゲをワックス脱毛される、蝋噴射装置で生きたまま蝋人形にされる、蝋まみれの顔の皮膚を剥がされる
◆ブレイク(死亡):ナイフで喉を刺される、刺さったナイフを地面まで踏み込まれる
◆ドールトン(死亡):大型のナイフ二刀流で首を切り落される
◆ペイジ(死亡):床下から素足を刺される、鉄パイプをおでこから刺されて後頭部を破壊される
◆ボー(死亡):クロスボウで腕と胸を撃たれる、腕のクロスボウを引っこ抜く、胸のクロスボウをぐりぐりされる、バッドでタコ殴りにされる
◆ヴィンセント(死亡):ナイフを胸に刺される、階下に蹴落とされる、火災の中燃える蝋まみれになる
◆ニック:足をナイフで刺される
◆カーリー:椅子にベルトとテープで縛り付けられる、接着剤で唇を塞がれる➡自力で剥がす、左手人差し指を切り落とされる、吹っ飛ぶほどの強烈顔面パンチを食らう
ウェイドは不法侵入を繰り返す”やらかし枠“だったこともあり、最も悲惨な目に遭っている。しかし指先を切り落とされたカーリーも、痛みレベルとしてはナンバーワンに近いだろう。逆に肉弾戦シーンが多いニックではあったが、意外と痛い指数は低かった。
感想
兄妹VS兄弟の双子対決がとにかく熱い作品である。ジョーンズ兄妹はいざとなった時のニックの頼もしさが尋常じゃない上、双子ならではの阿吽の呼吸でカーリーと共闘するのもワクワクした。一方シンクレア兄弟は、バックグラウンドが全く分からないのに兄弟の絆だけはやたら伝わる不思議なコンビだった。キレて騒いで暴れまくりの兄と、寡黙に殺害と蝋人形化を実行し続ける弟というコントラストも新鮮。結合双生児時代と同じポーズで死んでいくところまでは想像できず、わずかな時間だが心に残るシーンだった。
他のメンバーは正直可もなく不可もなくだが、ウェイドだけは少々やらかしが過ぎただろう。シンクレア邸でも、あっちこっち部屋を覗き回らずにトイレを借りてさっさと車に戻って居たら、少なくともアキレス腱を切られずに済んだかもしれない。そこまで強引に連れて来られたわけでもないのに気付けば身動きが取れない、というのは、胸糞系ホラーでよくある展開だが、ウェイドのような不法侵入繰り返しマンでは自業自得感が強くなってしまう。
レスターの存在は「双子バトル」という綺麗な枠組みには水を差された感があるものの、悪くないオチだと思った。ただ、いかんせん、シンクレア一家についての情報が少な過ぎる。母も生前蝋人形化殺人を犯していたのか?父の自殺との関連性は?実際に両親が他界したのはいつなのか?それまでの兄弟の歩みは?レスターとの関わりは?あの町は実際どこまで双子が『作った』のか?など、妄想の余地はあっても確証のない疑問が多い。これは是非とも前日譚が欲しいところだ。そこで出来ればボーとヴィンセントの子ども時代なんかも拝みたい。
全体的にもう少しコンパクトでもよかったかも知れないと思うし、ラストはややCG感が強くなっているものの、館ごと燃え落ちる大火災という迫力ある展開で、B級ながらも見応えがあった。蝋人形xスラッシャーx双子バトルがとにかく面白く、大好きな作品である。






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