【考察】映画『エイリアン:コヴェナント』|プロメテウスから続く“狂気”の計画

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:あり、身体損壊:あり、子ども被害:なし、動物被害:なし

ここからネタバレがあります!未視聴の方はご注意ください!

植民船である大型宇宙船コヴェナント号は、突如発生したニュートリノ嵐に襲われ、その後修復作業中に謎の電波をキャッチし、そちらへ進路を変えた。到着した先では全員登山レベルの軽装でヘルメットすらなく、とんだ無鉄砲揃いである。と言うか、ウォルターだけ先行させるという選択肢が最善だった気がしてならない。

●デヴィッド
前作の損傷は完全に修復されていた。惑星にいたエンジニアっぽい種族を黒い液体で滅ぼすと、彼らの施設で生体実験を繰り返していたらしい。なお、エンジニアっぽい種族の正体は明言されておらず、前作で登場したエンジニアの同族なのか、エンジニアの創作物の一種なのかは不明。仮に同族であっても、立場や能力はだいぶ差があるように見える。

●ウォルター
デヴィッドの後継機種。デヴィッドにはない自己修復能力を持ち、多少の外傷は即座に再生する。ちょっとした損傷なら、機能自体もバックアップから復元可能。しかしダニエルズはウォルターの自己修復能力を知らない可能性が高い。左手はともかく、あの程度の顔の傷に、なんの疑問も持たずにホチキスを止めていたからだ。

●キスの意味
①自分大好きデヴィッドが己と同じ顔・似た存在に愛着を持った、②マシンなお前はキスとか愛とか知らんやろ?という挑発、③破壊前の歪んだ愛情表現、などいろいろな意味が考えられるが、とりあえずデヴィッドの異常性が端的に表れていた。

●超人技でなりすまし
どんでん返し的に明かされるデヴィッドのなりすましだが、一体『入れ替わり』はいつ実行されたのか。チャンスは当然タイマンバトル後なのだが、それほど時間的余裕があったかは少々疑問である。髪型を真似たあたりでエイリアン胚も飲み込んで、着々と入れ替わりの準備をしていたと推測する。それくらいの周到さがあっても、デヴィッドならおかしくない。

●デヴィッドの創造物
基本的に、本作で登場するのは黒い液体を利用してデヴィッドが生み出したエイリアンである。黒い液体は、遺伝子を破壊し、新たな生物に再構築することが出来る。デヴィッドは、死んだエンジニアたち、原生生物、ショウ博士の遺体などを利用して、様々な特徴を持つ生命体を“創造”していた。組み合わせなどを検証し、黒い液体でそれらを融合させ、“エイリアンの卵”を生成したと思われる。そして次の実験段階として“母体”となる人間が必要だったため、呼び寄せるべく、カントリーロード電波を飛ばしていた。

●ネオモーフ
黒い球体から放出される、まっく〇く〇すけ的な黒い粒子が、人間に寄生、体内で成長した新生物。背中をぶち破って出てきたり、口から吐き出すように出てきたりする。従来のエイリアンと異なり、全体的に白く、質感は柔らかく、後頭部の先端が尖っているのが特徴。生まれた直後から凶暴性が高く、襲った人間を食べていた。

●プロトモーフ
デヴィッドが生み出した元祖オヴォモーフ(エイリアンの卵)から出てきたフェイスハガーが、人間に寄生することで誕生したエイリアン。1体目はクリス、2体目はロープから生まれた。ロープにフェイスハガーが付着していたのはほんの数秒で、産み付ける速さ的にはシリーズ中で断トツである。

プロメテウスの続編ということで、前作で投げっぱなしだった謎が回収されるかと期待を持って視聴した。しかしエイリアンシリーズに繋がる部分は、前作以上のことはほぼ描かれず、より一層【デヴィッドの物語】という側面が強く出ていた。

創造主とは、人類の起源とは、創造物の進化の先にあるものは、というテーマ性があまりにも強く、デヴィッドが計画を着実に実現していくことで、エイリアンの存在自体が『凡庸な創造物』に貶められてしまったように感じる。一方で、時系列で考えると、デヴィッド作のエイリアンたち自体は初代エイリアンに繋がらないはずである。コヴェナント号事件2104年からノストロモ号事件までは、20年も経っておらず、『胸部に穴の開いたスペースジョッキーの化石』との整合性が取れなくなるからである。その意味では初代エイリアンの神秘性は棄損されていないのかも知れない。

一作のSF映画として見ても、ポンコツだらけのクルーが巻き起こすドタバタ劇でハマり切れなかったが、ウォルター単体では好きなキャラクターだった。続編で彼が復活してデヴィッドの野望を打ち砕いてくれるとスカッとするところだが、そもそも続編自体が幻となりそうなので、夢のまた夢……

シリーズのまとめ記事はこちらから☟

基本情報

【公開年】2017年
【監督】リドリー・スコット
【キャスト】マイケル・ファスベンダー、キャサリン・ウォーターストン、ビリー・クラダップ、カルメン・イジョゴ、ダニー・マクブライド、エイミー・サイメッツ、ジャシー・スモレット、キャリー・ヘルナンデス、デミアン・ビチル、テス・ハウブリック
【登場人物】デヴィッド/ウォルター(アンドロイド)、ジャネット・ダニエルズ(コヴェナント副官)、クリス(コヴェナント新船長/カリンの夫)、カリン(生物学者)、テネシー(チーフパイロット/マギーの夫)、マギー・ファリス(パイロット)、リックス(操縦士/アップワースの夫)、アップワース(通信士官)、ロープ(軍曹)、ローゼンタール(警備担当)
ポストクレジットなし

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