【考察】映画『オーメン2/ダミアン』|反キリストの成長と覚醒

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:あり、動物被害:なし

ここからネタバレがあります!未視聴の方はご注意ください!

前作から7年後。リチャードに引き取られたダミアンは12歳になっていた。彼の周囲で死者が出始め、やがて自分が何者かについて悟るまでの物語である。ちなみに、そんなプロットの割に、悟ってからの葛藤タイムはほぼない。切り替えが早すぎである。

●年齢に応じて動く
前作ではダミアン誕生から5年後に突然人が死に始め、本作ではそこから更に7年間の沈黙➡もうすぐ13歳という節目➡事件再開という流れで、特定の年齢ごとにイベントが発生するようである。

●意外と大きい組織
前作では、教会関係者の中でも一部の人間が【ダミアン出生】に関わっていたようだが、本作では、実は悪魔関係者はたくさんいます!というメッセージが強くなっていた。ラストのコリント人への手紙も、それを象徴している。メンバーはアン、ポール、ネフ、という具合に職業などバラバラ。彼らがどうやってダミアン=反キリストという情報を共有したのかなど、諸々描かれないままである。

●宗教的掘り下げ
チャールズがソーン美術館へ到着予定の遺物を説明するのだが、そのうちの一つが【バビロンの娼婦】で、本作における”悪魔”と”社会”の関係を示唆している。

【実際のバビロンの娼婦】
◆娼婦=ローマ(世俗的権力)、10本の角=10人の王を象徴している
◆10人の王は一時的に悪魔の力を授けられている
◆黙示録では「10人の王はやがて娼婦を憎み、肉を食らい焼き尽くす」とある

【なにを示唆しているか】
◆娼婦=ソーン産業、軍などの社会的・世俗的権力
◆10人の王=悪魔の味方
◆娼婦が乗っている獣=反キリスト(ダミアン)

『やがて悪魔の味方たちが、ソーン産業を含めた社会の権力構造を滅ぼすようになる』という話をリチャードに説いている、という皮肉な構図だったようだ。

●短剣の移動
前作ラストでロバートが使用しイギリスにあったはずの短剣を、冒頭ではエルサレムのブーゲンハーゲンが当たり前にバッグから取り出している。いつの間に、どうやってブーゲンハーゲンの手に渡ったのか、作中では描かれなかった。

●ロバート葬式後のダミアン
前作ラストでは、今にも大統領の養子になりそうな雰囲気だった。結局叔父にあたるリチャードに引き取られたのは、自然と言えば自然だが、どういう経過があったのかが不明だし、【政治的権力を持つ】のが目的でロバートの息子になったはずだったのに、リチャードでよかったんか?という疑問が残る。

●666のあざ
ダミアンはネフに言われて黙示録を読むと、“数字は人間にあり その数は666なり”という一節を読んで、慌てて確認しに行く。ピンポイントで頭を確認するのも、それでアザをすぐ見つけるのも、逆にそこまで分かりやすいアザなのに今まで知らなかったのも、不思議である。

エレベーターでの体パックリシーンなど、前作よりもゴア的にレベルアップしている部分はあった。しかし、どうにも“衝撃”がない。その大きな理由はおそらく、前作と【恐怖の構造】を同じにしてしまったからだろう。前作では、突然始まる不可解な死の連続➡ダミアンが元凶かも知れない!?一体ダミアンとは!?という謎と恐怖が折り重なる物語だったが、本作は違う。こちらはもうダミアン=アカンと知っているし、彼を拒絶・否定する側の人間が死んでいくことは予想出来てしまう。だから、それ自体が前作ほどの恐怖をもたらさない。なのに、今回新たな謎が提供されたわけでもない。単に【事故っぽい死】の繰り返しで終わってしまったのだ。そしてラストも、リチャードも失敗!俺たちの戦いはまだ続く!ということで、『繋ぎ』感が半端なかった。

それでも、ダミアンの、端正な顔立ちx育ち良さそうx賢そうx可愛らしさを秘めているxどこか危うい、というキャラクター性は見た目も含めてとても良かったし、士官学校の雰囲気や、遺跡の発掘物&聖書の引用などでより宗教観が増したのは好きだった。ストーリー展開にあともう一捻りあったらなぁ、もっと好きになりたかったなぁと思う作品である。

前作のレビューはこちら☟

基本情報

【公開年】1978年
【監督】ドン・テイラー
【キャスト】ウィリアム・ホールデン、リー・グラント、ジョナサン・スコット・テイラー、ロバート・フォックスワース、ニコラス・プライヤー、リュー・エアーズ、シルビア・シドニー、ランス・ヘンリクセン、エリザベス・シェパード、ルーカス・ドナット
【登場人物】リチャード・ソーン(ソーン産業社長)、アン(リチャードの妻)、ダミアン、ポール・ブーハー(ソーン産業社員)、チャールズ(ソーン美術館館長)、ビル・アサートン(ソーン産業重役)、マリオン(リチャードの母)、ネフ(軍曹)、ジョーン・ハート(ジャーナリスト)、マーク(リチャードの息子)
ポストクレジットなし

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