「死霊館のシスター」 (2018年)

ジャンル:ホラー
監督:コリン・ハーディ
キャスト:タイッサ・ファーミガ、デミアン・ビチル、シャーロット・ホープ、リリ・ボーダン、ボニー・アーロンズ、イングリッド・ビス
登場人物:アイリーン(シスター)、バーク(神父)、ヴィクトリア(シスター)、マルタ(シスター)、ヴァラク、オアナ(シスター)
ポストクレジット:なし
ポテッチの好き度:50/100(普通)

超ざっくりあらすじ

1952年ルーマニア。シスター志願生アイリーンとバーク神父は、バチカンからの命を受けて、シスターが自殺したという聖カルタ修道院を訪れた。付近の村人たちさえも忌み嫌うその場所で、地元の青年フレンチーも巻き込み、やがて恐ろしい真実を目の当たりにすることとなる。

ここからネタバレ注意

事実関係・疑問・つっこみ など

●修道院の過去
神父バークと、シスター見習いのアイリーンは、聖カルタ修道院での修道女の自殺について調べるよう命じられた。訪れた修道院には、悪魔との因縁の過去があった。

暗黒時代に、カルタ公爵が聖カルタ城を建てた

カルタ公爵はオカルトにハマり、悪魔を呼び出す魔術と儀式を繰り返した

悪魔を送る扉を開けることに成功、地面が割れて悪魔ヴァラクが出てきた

そこへ教会が踏み込み、カルタを殺し、聖遺物=キリストの血で扉を閉めヴァラクも閉じ込めた

教会はそのまま城を占拠して礼拝を始めた=聖カルタ修道院となった

それから何世紀かの間、ヴァラクは封印されていた

戦争で爆撃があり修道院の一部が崩壊、ヴァラクが再び動き出した

●ヴァラクの凄さ
キリストの血という、神側からしたら伝家の宝刀であり最後の切り札でありマスターソードである聖遺物を消費してようやく封印することが可能。それでも放置は出来ずに、延々と祈り続けなければならなかった。その後たった一度の爆撃で封印が解かれ、修道院内はもちろんのこと、ビエルタン村の人々へも、まるで感染症のように呪いを広めていく。

爆撃を受けた直後に再び教会側が総力を上げて封印に来ていれば、とも思うが、修道女たちには誰かに助けを求める余裕もなかったのかも知れない。

●ヴァラクの能力
ヴァラクの能力によりさまざまな事象が引き起こされていたが、制約もあるようだ。

<できること>
・ヴィクトリアの死体を移動させる
・アイリーンとバークに修道長の幻覚を見せる
・バークに少年ダニエルの幻覚を見せる
・バークを墓に閉じ込める
・アイリーンに逆さの五芒星(デビルスター)刻む

<制約/限界>
・修道院から出るには、人間の器が必要
➡人間が死んでいる場合、器には出来ない
・キリストの血がアイリーンの顔についた瞬間、憑依が解けた
➡キリストの血には、何をもってしても対抗できない

●迷惑貴族
何故カルタは召喚する対象としてヴァラクを選んだのだろうか。そもそも何故悪魔を召喚するような心持ちになったのだろうか。召喚したあとヴァラクをコントロールするつもりだったのか、ヴァラクに身を捧げるつもりだったのか、いずれにしてもはた迷惑な貴族だ。

アイリーンたちがビエルタン村に到着したその日、モリースは階段から血が滴る夢を見ながら起床した。さすがにこの時点での憑依はなさそうだが、既に悪魔の影響を受けていたようだ。

皆が嫌がる仕事(忌み嫌われた修道院への配達)をこなし、見つけた死体を丁寧に移動してあげて、調査を手伝い、何度もアイリーンを助け、人のために尽くしたモリースが、しつこくヴァラクの呪いを受けることになるのは理不尽さを感じる。モリース自身が霊的な力を持っているような描写もないし、「何度もアイリーンを助け」たことが、ヴァラクの癪に障ったのかも知れない。人選がいかにも悪魔的だ

各作品の事件の時系列としては下表①、映画公開順では下表②の通り。

【死霊館シリーズ】実在の心霊研究家エドとロレインをモデルとした悪魔祓い系ストーリー。
【アナベルシリーズ】エドたちが所有している呪いの人形アナベルにまつわるストーリー。
【死霊館のシスターシリーズ】シスターアイリーンが主役、1950年代のストーリー。(本作)

・死霊館シリーズはどれも単発で観てOK、だが公開順に観た方が細かい部分の繋がりを感じる
・死霊館2を見たあとで死霊館のシスターシリーズを見ると理解が深まる
・死霊館のシスター2は、死霊館のシスターを見てからがオススメ
・アナベル死霊人形の誕生➡アナベルは内容の繋がりがあるが、一方のみでも一応成立する
・死霊博物館は全然毛色が違い単発でも問題ない

感想

オカルトホラーもので、意外と神父・修道女のバディ物は少ないのではないだろうか。今回はその立場的関係だけでなく、二人のキャラクターがなかなかよかった。

バークはやり手エクソシスト風に登場したはずだったが、気付けばおちゃめポジションに収まっていた。墓に閉じ込められたり、ダニエルに夢中でアイリーンを放置したり、死体にビビッてモリースに助けられたりと、わりといいとこナシだ。それでも憎めないのは、滲み出る人の好さによるものだろうか。バークが自分の荷物を違うトラックに乗せて出発されてしまったシーンなどは、本作で数少ないほっこりシーンである。

それに対しアイリーンは、若さを感じさせつつも芯の通った強いシスターである。本編中で彼女がバーク神父の相棒として選ばれた理由は明言されなかったが、生まれ持った特別な力が示唆されていた。残念ながら今回ヴァラクを地獄に戻すことこそ出来なかったが、それはアイリーンの力不足ではなく、「悪魔の名前を呼んで地獄に送り返す」という手順を誰も教えていなかったからだ。ちなみにバークだけがヴァラクの名に辿り着いていたが、有効活用出来なかった。やはりおちゃめポジションだ。

本作は古き良きゴシック調のオカルトホラーとして立派に成立している作品である。だからこそ、ウォーレン夫妻に関するシークエンスが前後に配置されたのが勿体なく感じた。特に冒頭の回想は、死霊館を見ていない人はポカーンだっただろうし本編中特に意味のある物でもなく、なんなら記憶から抹消されているケースもあるかと思う。

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