
【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:あり、動物被害:なし
事実関係・疑問点の整理
複雑に”見える”失踪事件
ノン・リニア群像劇として、複数キャラクターの視点に切り替わり進行していく本作は、子供の失踪に始まり、その謎に迫る大人たちと、結末を描いている。
●実際の時系列
簡単にまとめると、下記の通りとなる。
◆グラディスがアレックスの家に来る
◆到着翌日には、早速両親を魔術で操り人質にする
◆しばらくの期間、アレックスがグラディスの言いなりで動く
◆グラディスが一斉失踪事件を引き起こす
◆保護者会開催
その後、ジャスティンとポールの再会➡ポールとジェームズの突入➡グラディスがマーカスを訪問、という流れ。なお、ペンキ缶からすると、アーチャーが車の落書きの犯人だろう。また、保護者会後、酒屋に行くジャスティンに小銭をせびるのはジェームズである。
登場人物全員……
全員が表と裏の顔を持ち、何かしらの秘密や問題を抱えており、完全に無垢で善な登場人物はいない。
◆ジャスティン
教師。作中の描写から軽度のアルコール依存性がある模様。また、前職を(教職員との)不適切な関係で解雇されており、作中も不安定な状況の中であえて既婚のポールと関係を持つなど、関係依存(+性的依存)も抱えていたと思われる。
◆アーチャー
生徒の父親。権威主義的で、マシューにも厳しくあたっていた模様。また感情的で、保護者会でも自身を制御できない様子が見られた。
◆マーカス
校長。彼氏と同棲している。
◆ポール
警官。アルコール依存症のため禁酒中だったがジャスティンの誘惑に負けて酒を飲み、浮気もする。
◆ジェームズ
無職。薬物依存症で、車上荒らしや、空き巣などを繰り返す。
現実社会が抱える様々な問題をぎゅっと詰め込んだ感がある人選。唯一マーカスについては、性的マイノリティの属性こそあったものの、作中では“健全な存在”として描かれていた。
グラディスの正体とは
●どう見ても、魔女
他者のエネルギー(生命力のようなもの?)を吸い取って若返る魔女と推測できる。17人の子どもを標的にしたのは、強力で長期的な若返りのためだろう。その辺は高齢者が若者を搾取する構図でもある。グラディスの扱う術について、コレ!という元ネタはないようで、複数の民俗魔術の混合(類感魔術・魔女伝承呪物・象徴魔術)と思われる。また、タイトルやグラディスのベルにも描かれている「△」も特定の悪魔等の象徴というより悪魔的演出の一環だろう。△の元ネタ自体はアルコール依存症の相互援助グループ「アルコホーリクス・アノニマス(AA)」のロゴマークから来ている説があるが、一次情報は確認できない。ただ、本作のキャラクターやメッセージを踏まえると整合性はある。
●魔術の効果
① 人形にする
ターゲットの私物と(おそらく)謎の植木の葉を鍋に入れて、唾を吐いたり火をつけたりという儀式をする。以降、ベルを鳴らすと、ターゲットは魔女の意のままに動く人形と化すようだ。それと同時に、エネルギーがグラディスへ送られるようになると推測できる。人形と言っても、口からスプーンで流し込まれればスープは食べられる。トイレはどうしているのか、ずっと立っているのかなど、疑問は尽きない。
② 兵器にする
ターゲットの私物を枝に巻く➡枝に自分の血液を付着させる➡攻撃対象の私物を巻く➡枝を折る、という手順で、ターゲットは兵器となって、攻撃対象が死ぬまで追い続ける。追いかける際、マーカスはアラレちゃんスタイルだったが、ラストの子どもたちはフリースタイルだった。
③護衛にする
人形化した人物を任意の場所に立たせる➡白い粉(塩?)で境界を作る➡境界を越えた侵入者を襲わせるという、護衛のような扱い方も見られた。
●作中では確定できないこと
アレックスが見様見真似で儀式を成功させていたことから、①魔女の修練は不要?、②儀式に用いた枝そのもの(アレックスの家に持ち込んでいた植木)に魔力がある?、③『血筋』で魔術が使える?、といった仮説が立てられる。しかしそうなると本当にグラディスが伯母なのか?という前提からの検証が必要になるが、材料が少なすぎる。ただ、結核を労咳と言っていたシーンから、かなり高齢であることだけは間違いないだろう。なお、作中でジャスティンやアーチャーの夢にグラディスが登場したが、その夢を見ている段階では両者に接点はなく、わざわざ夢に登場する意図が不明だった。
感想
序盤の勢いはよかったが、結局は魔女だったのか、と言うガッカリ感は多少あった。また恐怖演出と言っても、基本はジャンプスケアで、しかも本筋と全く関係ないものも多いので、後半になってくるとだんだん愉快に感じられてくる。最後の追いかけっこは、おそらく制作陣も楽しいゴアを目指していたはずだ。
また、群像劇ならではの【見た目の複雑化】がある上、プロットホールも気になる部分があって、没入感はあまりない。たとえば、ポール&ジェームズの突入に関しての時系列が合わない部分や、グラディスの「明日出発する」と言う話がいつだったのかよく分からない点など。
とは言え、マーカスやグラディスの身体損壊具合を見ても、『そういう細かいところはさて置いて楽しんで欲しい!』という意気込みは伝わってくる。ほんのりホラーな気分の時、さっくりと見るにはちょうどいいだろう。
基本情報
【公開年】2025年
【監督】ザック・クレッガー
【キャスト】ジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、オールデン・エアエンライク、オースティン・エイブラムス、キャリー・クリストファー、ベネディクト・ウォン、エイミー・マディガン
【登場人物】アーチャー・グラフ(建設業者)、ジャスティン・ギャンディ(小学校教師)、ポール・モーガン(警官)、ジェームズ、アレックス・リリー(小学生)、マーカス(小学校校長)、グラディス(アレックスの伯母)
【ポストクレジット】なし





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