【考察】映画『オーメン/オーメン666』|少年の正体は、本当に災厄の元凶なのか<オリジナルとの比較アリ>

【苦手トリガーチェック】
虫:なし、体内侵入:なし、身体損壊:あり、子ども被害:あり、動物被害:なし

●ロバートの誤った選択からスタート
本作は、ほぼオリジナルと同じシナリオで進んでいく。悲劇の始まりもやはり死産であり、ロバートの“選択”である。『せっかく生まれた赤ちゃんが死んだと分かれば母親がショックを受ける』というのは分かるが、『だから謎の赤ちゃんを代わりに我が子とする』というエクストリーム対処法は、時代が変わっても受け入れられない非倫理的な選択である。

●そして死者が出始める
ダミアンを養子にして数年後、徐々にソーン家に悲劇が迫る。

◆駐英大使予定の人物が事故死➡ロバートが駐英大使となり、一家はロンドンへ引っ越す
◆ダミアン5歳の盛大な誕生パーティーを開く➡乳母ホリーが派手に投身/首吊り自殺
◆ブレナンの警告が始まる➡落下した避雷針が直撃してブレナンが死亡

ブレナンは何度もロバートを訪れて、『ダミアンはジャッカルから生まれた“反キリスト”であり、ダミアンを殺さないとやばいことになる』と警告していた。しかし彼が必死になる動機は、世界を守りたいというより、神からの赦しを得たい、からだった。

●明らかになるダミアンの異常性
ロバートはブレナンの言葉をスルーしていたが、ケイトは自らその異常性に気付き始めていた。

◆教会に連れて行こうとしたが、ダミアンは拒絶しケイトに襲い掛かる
◆ダミアンと動物園に行くと、異常なまでに動物に嫌われる
◆屋内でキックボードをするダミアンに激突されて2階から落ちて大怪我&流産する
➡このままではダミアンに殺される、と感じるようになる

そして予感は当たり、入院していた先で乳母のベイロックにより殺害された。

●そしてダミアンの勝利へ
写真に“死の兆候”を見つけたカメラマンのジェニングスがロバートに接触したことで、大きく展開していく。

◆ダミアンが生まれた病院を訪れる➡全焼して記録はなく、唯一の生き残りはスピレット
◆スピレットの情報で【ダミアンの母】の墓を暴く➡ジャッカルの骨が見つかる
◆隣に頭蓋骨が割られた赤ちゃんの遺骨➡ロバートの実子はスピレットらに殺されていたと判明

その後ロバートとジェニングスは、イスラエルにいるブーゲンハーゲンに会いに行った。しかし、ウダウダモードに入ったロバートが【ダミアンを殺す用短剣】を放ったことで、ジェニングスはピタゴラ的に斬首され死亡。結局短剣を持って帰宅したロバートが、妨害に来た犬とベイロックを退け、ダミアンを教会へ連れていく。しかし駆け付けた警官によってロバートの方が射殺される。反キリスト勢力は【ダミアンに政治的な権力を握らせる】目的でロバートの養子にさせたのだが、ダミアンはロバートの葬式で、政治的権力の最高位=大統領と手を繋ぎ笑顔を浮かべていた。

●バチカンのシーン
本作では冒頭に、バチカンの天文学者が【黙示録の獣】の誕生を示す彗星を発見してローマ教皇に報告する、というシーンが追加されている。後半になって徐々に謎が明かされていくオリジナルの構成と比較すると大きく違うポイント。

●スティーブンの事故死
もともと駐英大使予定だったのはスティーブンという別の人物だった。彼がピタゴラスイッチ的事故で死亡してしまったことで、ロバートに順番が回ってきた、という一連は本作で追加されたものだ。この時点から悪魔的力が働いていた、という示唆だろうか。

●ソーン家周りの細かな違い
オリジナル➡本作とで、ダミアンに関する細かな描写が異なる。主なものを下記に挙げる。

ダミアンとキャサリンが二人でサファリに行く➡ほかの家族たちと動物園に行く
部屋で楽しく動き回って遊ぶダミアン➡黙々とゲームをするダミアン
ダミアンが三輪車で暴走➡ダミアンがキックボードで暴走

●死亡シーンの違い
ホリーやブレナンはほぼオリジナルと同様の展開で死を迎える。作中での死亡過程が大きく違うのは下記の3名。

キャサリン/ケイト
家の2階から落下して入院後、オリジナルでは(おそらく)病室からベイロックに突き落とされているが、本作ではベイロックによって点滴に空気を注入されて死亡した。
ジェニングス
メギドで短剣を拾ったのち、オリジナルではトラック荷台から滑り落ちたガラス板で首を水平に切断されるが、本作では外れた看板によって斬首される。
ベイロック
ダミアン殺害を阻止しようとベイロックがロバートに襲い掛かるが、オリジナルではロバートに刺殺され、本作ではロバートに車で撥ねられ死亡。

ベイロックに関しては、本作の方が、人身事故を起こして猛スピードで逃げるロバート➡警察車両が追う、という流れが発生しているので、教会で即座に射殺される不自然さは軽減される。

●『終末の兆候』
冒頭の追加シーンでは近年起きた大惨事(9.11の同時多発テロ、スペースシャトルの空中分解事故、ハリケーンの被害)などの映像が挿入されている。つまり、それらが全て『終末の兆候』だという扱いだが、ダミアンが生まれる前の【カウントダウン】としては、あまりに大きすぎる出来事ではないだろうか。結局生まれたあとは、身近な人物を事故的に殺していくだけなので、むしろスケールダウンしているように映る。

●リメイクの必要性の薄さ
いくつか追加されたシーン、多少変更された演出もあるが、オリジナルを別キャストで見ているような気持になるくらい忠実なリメイクとなっている。オリジナル視聴済みの人たちにとっては、ほぼ新鮮さはないだろう。どうしても、『666にちなんだ大作IPをリメイクし2006/06/06に公開する』という思惑ありきで制作されたように感じてしまう。

役者の影響かは分からないが、本作のロバートはずっと腹に一物抱えているような雰囲気があって、感情移入が出来なかった。そのくせ、無駄に優柔不断な部分が目立つ。仮にロバートが短剣を投げ捨てなかったとしたら、別の方法でジェニングスが殺されていただけかも知れないが、あの場面は(オリジナルでもそうだが)ジェニングスへの同情を禁じ得ない。ロバートのモタモタもすべて悪魔のせいだよ、と言われればそれまでだが。

また、全体的に明るいトーンが全くなく、なんなら途中にケイトの悪夢という体で不穏なイメージショットも出てくるため、『まさか、あの子が本当に悪魔!?』といった衝撃が薄い。可愛いのに口角が下がりっぱなしで、暗い部屋でピコピコゲームして、ほぼしゃべらないあの子が“反キリスト”でした、と言われても、『そうですか』となるだけである。

リメイクは大幅に変えるとがっかりすることもあるし、忠実な方がヨシとされることもあるだろうが、本作については、トーンだけが現代風に変更されたことで、オリジナルにあった恐怖やミステリー要素の良さが削ぎ落された感じがして、少々残念だった。

基本情報

【公開年】2006年
【監督】ジョン・ムーア
【キャスト】リーヴ・シュレイバー、ジュリア・スタイルズ、ミア・ファロー、デイビッド・シューリス、ピート・ポスルスウェイト
【登場人物】【登場人物】ロバート・ソーン(外交官)、キャサリン/ケイト(ロバートの妻)、ベイロック(乳母)、ジェニングス(カメラマン)、ブレナン(神父)
ポストクレジットなし

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